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大阪都構想で“敵認定”された「大阪の公務員」、彼らが語った「やりきれぬ思い」

維新は大阪を「利用」してきた

公務員は「賛否を口にするな」

大阪市北区中之島の大阪市役所。2本の川に挟まれた中洲に、花崗岩張りの8階建て庁舎がどっしりと威容を誇る。御堂筋に面した正面玄関の植え込みには、11月1日に行われる「大阪市廃止・特別区設置住民投票」の案内看板。庁舎の壁面では「行こう!投票」と書かれた垂れ幕が揺れる。

大阪市役所(筆者撮影)
 

住民投票が告示された今月12日以降、本庁に勤務する約3000人の職員は、これを横目に通勤している。自らが働く組織の存廃を投票にゆだねるのは、どういう心境なのだろうか。

「市民の判断なので、こればっかりは私たちにはどうしようもない。二度目ですからね、もうマルになる(可決される)んだろうと庁内はあきらめムードが漂い、淡々としています。5年前と同様、今回も『賛否を口にするな』と箝口令が出ていますが、そんな必要もないほど静かで、話題にもなりません」

告示からまもなく、ある場所で向き合った50代の総務系職員は力なく苦笑した。「前回はもっと庁内がザワザワしていた」という。初めての住民投票であり、賛成・反対両派とも街宣活動や集会を頻繁に行っていた。そして、市内に固い支持基盤を持つ公明党が反対していた。

「それが昨年の知事・市長ダブル選挙で敗北すると、(公明党は)あっさり賛成に回ってしまった。あれは、私たち市職員にとって大きなショックでした。公明の市会議員の先生方も内心は複雑だと思います。しかし、中央が決めた方針に従わされ、どうしようもないのでしょう……悔しいですが」

住民投票に関する箝口令は、橋下徹元市長が定めた「市職員の政治的行為の制限条例」に基づく。同じく橋下時代に制定された「職員基本条例」も、厳しい評価と処罰で職員の行動を縛る。かつては組織ぐるみで市役所出身の市長を担ぎ、「中之島一家」と揶揄された市職員の結束ぶりは、「既得権益」と批判されても仕方のないものがあり、この職員も「たしかに行き過ぎだった」と認める。