大阪都構想はどう考えても「論外&大損」…132名の学者からの「警告」

イメージで賛成、中身を知ると反対
藤井 聡 プロフィール

(4)「二重行政」という問題は存在しない

これだけ明確にデメリットがあるのが都構想なのだから、ほとんど全員が反対しても良さそうなものでもあるのだが、今、大阪の賛成派は反対派に拮抗する程に存在しているのが実態だ。

それは、大阪府と大阪市の間に「二重行政」があり、これを都構想で解消できるからだと言われているからだ。事実、賛成派最大の根拠がこの二重行政なのであり、賛成派の実に約半数が、その第一の理由として「二重行政の解消」を挙げている。

しかし、この二重行政の解消については、学術界では一切問題になってはいない。少なくとも、推進派と政治的なつながりがある元・大阪市特別顧問の学者以外で、これが問題だと口にする財政学や行政学の学者は少なくとも筆者は一人も見たことがない(なお、筆者は元特別顧問の二重行政についての原稿にも目を通したが、推進派の運動家が書いたような抽象的な文言で埋め尽くされており、客観的なデータは一切示されていない代物であった)。

 

例えば、地方財政学の平岡和久立命館大学教授は「『二重行政』については、多くの場合ほとんど問題になっていないことから、そもそも政令市を解体する理由にはならない」と断定している。

実際、二重行政による財政の無駄の削減は、「仮にあったとしても小規模」(川端祐一郎・京都大学助教・都市社会工学)、さらに言うなら「ゼロに等しい」(森裕之・立命館大学教授・地方財政学)とすら言われており、したがって「大阪経済の衰退や財政危機は『二重行政』によるものではありません」(岡田知弘・京都大学名誉教授・地域経済学)という断定的に指摘される状況にあるのだ。

むしろそれどころか、「『二重行政』と言われるものには…二者が互いに協働・補完し合う…『良い二重行政』」(水谷利亮・下関市立大学教授・行政学)もあり、かつ、「二重行政は二重保護として機能している」(松永和浩・大阪大学准教授・歴史学)側面も濃厚にある。

したがって二重行政を「解消」させると、「住民福祉に直結するサービスばかり」(鶴田廣巳・関西大学名誉教授・財政学)が必然的に切り捨てられることともなるのだ。つまり、削れる不要な二重行政などそもそもほとんどないのが実態であり、それにもかかわらず無理をして削れば住民サービスが劣化するわけだ。

さらに言うなら、仮に二重行政を排除するにしても、「現行法制度上でも二重行政を排除」(今井良幸・中京大学准教授・憲法/地方自治法)することも可能なのであり、何も都構想など行う必要すらないのである。

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