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日本の印刷文化や歴史を知ることが次世代の技術を創出する道筋に

提供/凸版印刷株式会社 

日本でも奈良時代には 始まっていた印刷の歴史

印刷といえば本や新聞、雑誌などをまず思い浮かべるが、実は建装材、電子部品なども“印刷テクノロジー”の産物だ。広範な分野で印刷技術は貢献している。  

「これまで印刷の歴史や文化を語る時、金属活字による活版印刷術を15世紀に発明したドイツのグーテンベルクに焦点が当てられてきました。影響が大きかったのは確かですが、日本ではすでに奈良時代には、木版印刷が行われていました。これから新しい文化を創るためには、日本の印刷文化を継承しながら西洋の文化を取り入れることが重要だと、この20年で確信したのです。そこで印刷博物館のメインテーマを日本の印刷文化史に変更しました」  

と、館長の樺山紘一氏。身近なハンコも印刷の出発点と考えられており、『日本書紀』には天皇に木製の印を献上したという史実が記されている。だが、印刷文化が始まったばかりの日本では、印刷物のほとんどが仏書であった。手書きで写していたものを簡単かつ正確に複写できる木版印刷は、さぞや画期的だったに違いない。  

「日本には中国から伝わった紙がありました。木版に彫り込んで墨をつけて押しつけ、複写するのです。一方、ヨーロッパに製紙術が伝わったのは12世紀以降。それまでは子羊などの皮を使う写本でしたから高価で、かつ手間がかかり扱いにくい。やがて日本では和紙を利用する版画が発達し、絵と文字を一枚の版にして複写する独特の技術が発達したのです」

江戸時代に流行した「鯰絵」と呼ばれる多色摺りの木版画

江戸時代になると印刷物が急速に庶民にも普及。徳川政権以降、戦より平和な生活に価値を見出し始めたことも影響したという。  

「文字と絵の両方が印刷されていて気軽に楽しめたことも普及の一因でしょう。庶民の目が肥えてくると、より質の高いものが求められるようになり、浮世絵や錦絵が生まれます。また、内容も浮世草子から読本へと替わったのです」  

こうして印刷は芸術や文化面で も大きく影響を与えた。  

次に印刷文化の大きな転換点となったのは明治維新だという。

 「ペリーの来航や開国、文明開化でヨーロッパの印刷文化が日本にもたらされました。大量に複写ができるようになり、図像表現も日本にはなかった技術が入ってきて、さらに新たな技術が日本で開発され、現在に至ります。ですがそれは、日本の伝統的な技術を生かしながら西洋の技術を吟味し、取り入れたからこそ生まれたものだと考えています」

デジタル技術の進化に 欠かせない日本の印刷文化  

印刷博物館リニューアルのもうひとつの大きな理由は、印刷環境の急速なデジタル化だという。  

「1980年代からその兆しはありましたが、この20年で想像以上のスピードで印刷の環境は大きく変化しました。印刷用の字型“活字”は使われなくなり、印刷工程やそれに関わる職業も一変。一見、アナログな文化が廃れていくように見えますが、実はデジタル化が進むことによってアナログの新たな可能性が見え始めたのです」  

例えば、かつての型を押しつける活版印刷と、現在主流のインキを転写させる平版印刷。よく見ると同じ印刷でも仕上がりに違いがあり、活版ならではの特徴がある。


「駿河版」と称される『群書治要』などの印刷に使われた重要文化財指定の銅活字。徳川家康が命じて造らせたもの

 「私たちは五感を使って情報を得ます。五感を研ぎ澄ましてアナログとデジタルを比較することで、表現力が豊かになり、それを新しい技術に生かすことで印刷文化にも深みや広がりが出るのです。  

印刷物は時間や距離を超えて伝達することができる手段なので、展示によって次世代にその歴史を継承することが印刷博物館の役目。お子さんやお孫さんと一緒に、ぜひ足を運んでもらいたいですね」

樺山紘一氏 印刷博物館館長
東京大学名誉教授。国立西洋美術館長を経て、2005年より現職。専門は西洋中世史、西洋文化史。『異境の発見』『地中海   人と町の肖像』『ルネサンスと地中海』など著書多数。写真左は印刷工房に展示中の活版印刷機。19世紀には実際に使われていた

子どもも楽しみながら学べる 展示や体験型の印刷工房も

古代から現代までの日本の印刷文化史をメインに、国内外の史料が展示されている。また、体験もできる印刷工房(下の写真)のほか、CGを駆使した映像を上映するVRシアター(土日と土日に続く祝日のみ上映)など充実の内容。

印刷博物館 (今年10月にリニューアルオープン)
住所:東京都文京区水道1-3-3 トッパン小石川ビル
電話:03-5840-2300
休館日:月曜(ただし、祝日の場合は翌日)、年末年始
入場料:一般400円、学生200円、高校生100円 中学生以下および70歳以上は無料
※新型コロナウイルス感染予防および拡散防止のため、入館は予約制となっています。受け付けは下記サイトから。 https://www.printing-museum.org/