ついに解明!「蚊」はどうやって人の手を避けているのか?

なかなか倒せないのにはこんな訳が……
リケラボ プロフィール

画期的な蚊を避ける装置が作れるかも?

──研究結果を今後どのように活かしていきたいとお考えですか?

今回は、蚊が気流の変動を検知することで、壁や床などの障害物を避けながら飛ぶことができるということがわかりました。この結果を逆手にとれば、何か特殊な気流を起こすことによって蚊を勘違いさせることができるかもしれません。

つまり、蚊が近寄れない空間を作ることができるようになるかもしれない、ということです。何か特殊な音や風を当てることで、蚊を遠ざけられるようなものを作れたら、と思っています。

──蚊を寄せ付けない技術ができるかもしれないなんて……夏のあのかゆみから解放されると思うと、夢のようですね!

先ほど、蚊に親しみをおぼえたことで簡単につぶさなくなったと話しましたが、やっぱり血を吸われるのは嫌ですからね(笑)。蚊の飛行メカニズムを利用することで、蚊をつぶさずに、寄せ付けないための手法を確立できたらいいですね。

それと、蚊が気流の変化を感じ取って障害物を検知するという仕組みをドローンなどに活用する研究も進められています。現在市販のドローンは、カメラや超音波センサなど、様々なデバイスを載せて床や壁を検知し、衝突を防いでいます。

ただ、ドローンのプロペラも、気流を起こして飛行している点では、蚊と同じです。この、プロペラが起こす気流が障害物に当たって、その気流が変化するのを蚊と同じように検知することで、超音波などの障害物を検知するための信号を発したり、カメラを載せなくても、壁や床の存在を検知できるという技術です。つまりシステムをシンプルにできるということで、今後、機械工学分野での応用が期待されます。

蚊が障害物に当たった気流の変動を感知し、床や壁面を避けて飛ぶことができることを示した画像。このような研究の末で発見できた喜びこそが中田先生の原動力となっている。

 ──中田先生ご自身は、今後どのような研究を続けていきたいとお考えですか?

感覚的な話にはなってしまいますが、私からすると蚊というのは、すごく飛ぶのが下手に見えるんですよ。トンボみたいにキビキビ飛ぶのではなく、ふらふらと飛んでいるように見えるのが、そういった印象を抱かせるのかもしれませんが……。

そして、どうしてああやってふらふら飛ぶのか、ということはまだわかっていません。もしかすると意図的にああやって飛んでいるのかもしれませんし、蚊の特殊な羽ばたきの運動をしていると、ふらふらとならざるを得ないということもあるかもしれない。

このように、蚊に限らず虫にはまだまだわかっていないことがたくさんあって、高速度カメラでの撮影が成功しているのも、何十万種類いる虫のなかでせいぜい数十種。

虫の世界にはそれだけフロンティアがありますし、だからこそ純粋に「もっともっと知りたい」と思えるんです。生きものの体の作りって本当に感心させられることばかりで、知るたびに感動する。もっともっとたくさんの生きものを見たいですね。

たとえば、虫以上に「鳥」の撮影も難しく、わかっていないことが数多くあります。虫や鳥の動きをさらに解明して、効率的にエネルギーを使って優雅に飛ぶ、安全なドローンなどもつくれたらいいなと考えています。自然界でつくられた生き物の仕組みを解明し、それを工学にも応用する「生物模倣(バイオミメティクス)※1」をずっと探求していきます。

※1 「生物模倣(バイオミメティクス)」はバイオメカニクスの応用分野であり、「生物の構造や機能などを観察・分析し、そこから着想を得て新しい技術の開発や物造りに活かす科学技術」として研究される学問。

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