劇場版『鬼滅の刃』が興収100億円超え!でも映画館の経営がヤバい理由

シネコンが抱える「ジレンマ」とは?
武井 保之 プロフィール

そうしたなか、夏興行に入り、徐々に邦画の大規模公開作が封切られると、それまでの状況が一変する。実写では『今日から俺は!!劇場版』が想定値を大きく上回る興収52.7億円、『コンフィデンスマンJP プリンセス編』は前作超えの36.8億円、秋には『事故物件 恐い間取り』が22億円、『糸』が20.3億円と平時を上回るほどのヒットが続出。

アニメでも『映画ドラえもん のび太の新恐竜』が31.2億円、『劇場版 Fate/stay night [Heaven’s Feel] III.spring song』は20億円に迫る。洋画では、ハリウッド大作の大半において来年への公開延期や配信シフトが続くなか、劇場公開にこだわるクリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』が20億円超えのスマッシュヒット。

コロナ禍においても劇場に足を向ける観客が多くいること、ヒット作が生まれることが映画界を勇気づけた。

コロナ後の興収20億円超えヒット作一覧
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一方で、興行におけるシネコンのジレンマも生じている。夏のヒット作の続出とともに全席販売の再開に踏み切るタイミングが探られていたなか、9月19日からの観客制限緩和措置に伴い、映画館は「全座席販売(100%)で食事不可(飲み物の販売は可)」もしくは「座席50%で飲食可」(全興連通達)の選択を迫られた。

シネコンにとっては、全席にすることで動員を増やし、少しでも稼働率を上げたいところだが、利益率が高く事業収益の大きな柱となっている飲食販売が制限されるのも厳しい。今回のようなメガヒットに恵まれているなかでも、平時の営業にはいまだ戻れず、全席販売と食べ物の販売のどちらを優先するか、どちらで収益増を図るか、シネコンそれぞれで対応が分かれている。

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