「大阪都構想」の決定的なダメっぷり…大阪の「元副知事」が実態を証言する

二重行政は「幻想」である
松本 創 プロフィール

「府市合わせ」も「二重行政」も幻想に過ぎない

まず、「二重行政」とは何か。府と市で権限や事業がぶつかる「府市合わせ(不幸せ)」が今も存在し、維新の言うように、それが大阪の成長を阻害してきたのか。この点を小西氏に尋ねると、「幻想です」と即座に否定した。

「府と市の法律上の権限が同一地域内で重なることはありません。広域行政を一元化すると維新は言いますが、都市基盤整備や大規模開発はこれまでも、大阪市は大阪市内で、府はそれ以外の地域で、分担・調整して行ってきました」

 

ただし、府市両方ができる事業もあるという。箱もの整備がそうだ。図書館や体育館、大学や病院、産業振興や市民活動の拠点施設……。維新はこれらを無駄だと批判する。

「同種の施設があるのを二重行政だと定義するならば、これはあります。しかし、大阪府と大阪市に限った話ではなく、政令指定都市だから生じる問題でもない。道府県と県庁所在地によくある話です。日本の自治制度は二層制で、地域に関わる仕事をそれぞれに行える仕組みだからです。

とはいえ、施設が二つあることで供給過剰になり、閑古鳥が鳴いているなら、無駄と言えるでしょう。でも、今ある大阪の施設はどこも利用率が高い。利便性が高く、選択肢も複数あるわけです。これは、住民にとって必要な『よい二重行政』じゃないでしょうか」

大阪維新の会発行のパンフレット『都構想まるごとスッキリBOOK』は、府の国際会議場「グランキューブ大阪」(大阪市北区)と市の国際展示場「インテックス大阪」(住之江区)、ともに男女共同参画の拠点施設である府の「ドーンセンター」(中央区)と市の「クレオ大阪中央」(天王寺区)、府立中央図書館(東大阪市)と市立中央図書館(西区)を無駄な二重行政の例に挙げる。だが、小西氏や府市職員たちによれば、これらは立地エリアや機能面で棲み分けができており、いずれも利用は好調だという。

大阪府立中央図書館〔PHOTO〕WikimediaCommons