「急速な時代の変化によって価値観の多様化が進む中、美意識やメイクに対する考え方も変わりつつある」と教えてくれたのは、第一線で活躍するメイクアップアーティストの水野未和子さん。

水野さんは、女優の井川遥さんと10年以上の付き合いがあり、井川さんにイメージモデルを務めてもらった初の著書『ディファインメイクで自分の顔を好きになる “私だけの魅力”が絶対見つかる自己肯定メソッド』(10月30日発売)を刊行。その中で、女性の“美への執着”に疑問を投げかけ、もっと肩の力を抜こう、と語りかける。

一人ひとりの魅力を“ディファイン(明確化)”するメイクに定評がある水野さん。今回は特別に本書の一部を抜粋し、水野さんの言葉から美意識をアップデートするためのヒントを探る。

撮影/目黒智子

水野未和子(みずのみわこ)
メイクアップアーティスト。オレゴンに留学後、イギリスに渡り、London College of Fashionでメイクアップを学ぶ。卒業後、フリーランスのメイクアップアーティストとしてロンドンでキャリアをスタートし、帰国後は多くの雑誌や、KOSE、POLAなどの広告、CMなどを手がける。人によって違う、その人だけの魅力をディファイン(明確に)するメイクに定評があり、数々の女優やモデルが厚い信頼を寄せる。Instagram:@mizuno.miwako 

「自分は自分」でいい時代が
ようやくやってきたんです

今、世界中で、もちろん日本でも、見た目や年齢に対する差別をなくそうという動きが急激に高まりつつありますよね。

ビフォーコロナ、アフターコロナと、前後で分けるのは好きじゃないけれど、世界中がコロナ禍というものを共有したことによって、より地球はひとつという意識が高まったはずです。あらゆるボーダーをなくして、同じ地球人として、力強く、でも柔軟に、生き生きと生きたいと思う。誰もが、そう感じているんじゃないでしょうか?

だから、「私なんて」も「モテなくちゃ」も、「どこかへ行っちゃえ!」と思う。自分は自分、でいい時代が、ようやくやってきたんです

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好きな男性に向き合うように
自分と向き合わないのはなぜ?

ずっと思っていたことがあるんです。それは、「どうして、男の人を見る目で、女の人を見ないの?」という、極めて単純なこと

男の人を見るときに、私たちは、「外壁」だけで判断しませんよね? 仕事に一生懸命打ち込んだり、好きなことを極めたりして、自信に満ち溢れている人は、すごく格好いい。年齢や経験を味方にし、シワや白髪などいわゆる老化のサインさえも味わいになっている人は、すごく素敵。人生が「顔」になっている男性に、私たちは惹かれるはずです

つまりは、10人いたら10人、100人いたら100人に好かれようとする「モテ」などまったく意味がない、それよりもその人にしかない魅力が溢れていることのほうが大事だってこと、私たちは知っているはずなんです。

それなのに、どうして、女の人に対しては、見方が180度変わるのでしょう? 顔や体型、もっと言えば、若く見えること……、そんな表面的なことばかりに目を向けてはいないでしょうか? 特に、自分のことになると、もっともっと顕著。表面で美しさを測ろうとしている気がしてならないのです。

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男の人を見るように、女の人を見てみてほしい。好きな男性に向き合うように、自分に向き合ってみてほしい。すると、見えてくるはずです。自分に対する今までの「物差し」はもう、手放していい、って。

メイクはそこで初めて意味を持つと、私は思います。