ハドソンヤードの中心に位置する、蜂の巣のような形をした巨大彫刻「ベッセル」

日本企業も出資…ニューヨークの観光地「ハドソンヤード」が自殺を誘発する理由

知られざる自殺大国アメリカの実情

NYで自殺が多い場所

自殺にいろいろな原因があるとはいえ、アメリカでは自殺に2つの要因が大きく関係していると考えられている。1つは「簡単に自殺できる」こと。もう1つは「都市化されていない」こと。1つ目は銃が簡単に手に入りやすい州での自殺が多いことを指しており、2つ目は各州、各市による自殺死亡率(以下、自殺率)が、都市より地方(田舎)のほうが高いことを意味する。

自殺方法が「簡単であること」は、銃だけに限ったことではない。ニューヨークではエンパイアステートビルやョージワシントン橋が自殺の多い場所とされてきたが、ハドソンヤードの巨大彫刻「ベッセル」は今年2月の飛び降り自殺により、それに加えられる可能性が高い。8階建て約60メートルの巨大彫刻「ベッセル」は、誰が見ても構造的に自殺が誘発されやすいデザインだからだ。普段は自殺報道の少ないニューヨークだが、ニューヨークポストも報じ、その構造の危うさから「他のところは安全対策がされているのに」とアメリカのメディア(TRD New York)にも酷評されている。

蜂の巣のような形をした巨大彫刻「ベッセル」

今年2月に起こった「ベッセル」での自殺は、ハドソンヤードと呼ばれる「マンハッタン最大級 総額4000億円超の再開発プロジェクト」という鳴り物入りの再開発エリア。複合ビルのいくつかは、去年の3月にオープンし、いまだ建設は続いている。当事業は、三井不動産の子会社である三井不動産アメリカが9割の事業シェアを持っている。

日本の報道では「ニューヨークのマンハッタンで“日本の会社”が複合施設を含む最大級の再開発」をし、巨大彫刻の『ベッセル』もある」と、日本人記者たちが誇らしげにカメラに向かって話していた。しかし、ベッセルは計画段階からニューヨーク市民や雑誌から非難を浴びており、都市開発エリアといえるハドソンヤード全体は、いまだ市民から愛される対象にはなっていない。日本では「海外で日系企業(テレビ局・新聞社にとっての広告主)の活躍」を無批判に報じるあたりは、日本のマスメディアが広告主の太鼓持ちになり「お客様は神さまです」状態になっていることをよく表している。

 

その再開発エリア(ハドソンヤード)は、日本のガラス張りのビル群をそのまま持ってきたかのような場所になっている。ハドソンヤードは、ニューヨークのマンハッタンに新しくできた、ただの「賃貸することが可能な面積」を広げられるだけ広げたガラス張りのビルが建ち並ぶ場所、といっていいだろう。ニューヨークの街並みを愛する人たちからすると、なんの魅力も感じられない。人を無気力化させる無機質な日本の市役所のような建築群がハドソンヤードだ。