『罪の声』は「網目」が重なり合った作品

「私の中で、いろんな網目があったんです」
10月30日に公開される映画『罪の声』。35年前に日本中を巻き込み震撼させた大事件をモチーフに、事件に翻弄されながら真実に向かって進む人たちの姿を描いたこの映画で、市川さんは、星野源さん演じる主人公・曽根俊也の妻を演じた。

市川さんが“網目”と呼んだのは、映画『罪の声』における様々な人と自分との関わりのことだ。糸と糸が織りなす手触りや、ふんわりした温もり。伸びることや、縮むことはあっても離れることはない。そんな様々なイメージが広がる言葉を、人間関係のたとえに選ぶところが、いかにも市川さんらしい。

「脚本の野木亜紀子さんとは、ドラマ『アンナチュラル』(18年)以来だったので、割とほやほやの再会でした(笑)。小栗(旬)さんとの初共演は、私の初めての舞台(※生瀬勝久さんが脚本の2004年の「JOKER」)でした。2回目が、4年前に公開された映画「ミュージアム」で、今回が3回目です。監督の土井(裕泰)さんは映画の『いま、会いにゆきます』以来で、なんと16年ぶり(笑)。星野さんとは初共演でしたが、それぞれに、いくつかの時間を経て一緒にお仕事をできる喜びがありました」

土井監督は、『いま、会いにゆきます』の撮影時に印象に残った市川さんとの会話を覚えていたという。

「当時は私もまだ20代です。昔の話をされるのが恥ずかしくもありつつ、監督が自分を知っていてくださることへの安心感もありました。重厚で、緊張感のある作品ですが、現場に朗らかな雰囲気が流れていたのは、監督の人柄によるところが大きかったと思います」

撮影/篠塚ようこ
いちかわ・みかこ 
1978年生まれ。東京都出身。雑誌「Olive」の専属モデルを務めるなど、10代よりモデルとして活躍。2000年、映画「タイムレスメロディ」で長編映画デビュー。03年映画「blue」でモスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞。16年映画「シン・ゴジラ」では毎日映画コンクール女優助演賞、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を獲得。「罪の声」脚本の野木亜紀希子とは「アンナチュラル」(18年)、「コタキ兄弟と四苦八苦」(19年)、監督の土井裕泰とは、「いま、会いに行きます」(04年)以来のタッグとなった。NHK「ドキュメント72時間」、テレビ東京「新 美の巨人たち」のナレーションも担当している。