コロナ、投票妨害、ディープフェイク…米大統領選にメディアはどう臨むか

デジタルメディアの博覧会「ONA20」レポート

「何が起こってもおかしくない」

例年秋にアメリカで行われているデジタルメディアの世界的交流イベント、オンライン・ニュース・アソシエーション(Online News Association:ONA20)も今年は新型コロナウィルスのため、10月1日から16日まで10日間のオンライン開催となった。今年のメインテーマは言うまでもなく、新型コロナウィルスCOVID-19をめぐる公衆衛生のデータ・ジャーナリズムや、治療法などに関する「フェイクニュース」を検証し、拡散をいかに防ぐかなどについてであった。

しかし、データ解析ツールやローカルメディアのコラボなどのセッションで展開されていた議論は、新型コロナウイルスだけでなく、11月初旬のアメリカ大統領選「後」に向けられていた。アメリカのメディアやジャーナリストたちは、開票に時間がかかる中で社会不安が増し、デモや暴動など不測の事態が起きるのではないかと身構えている。

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ブラック・ライブズ・マター(BLM)の抗議運動や警察の武力行使、白人至上主義者らの示威行動などが続いている問題が懸念の根底にある。バイデン元副大統領に対して劣勢が伝えられるトランプ大統領が、これまで深刻な問題なく行われてきたとされている「郵便投票」に疑義を何度も表明し、「選挙後の平和的な政権引き渡し拒否」を公言、さらに9月29日に開かれた大統領候補者の討論会では、白人至上主義者に対して「下がって待機せよ(stand back and stand by)」と述べ、彼らに改めて指令を送るようなことをほのめかすなど、緊張感をあおっている。

折しもONA20の期間中にトランプ大統領は新型コロナウィルスに感染し入院、異例の早さで退院し、根拠となる自身の検査データを詳しく公表することもなく、選挙キャンペーンを再開した。家族やホワイトハウスのスタッフなどにも感染が次々に拡大したにもかかわらず、ホワイトハウス内の感染経路の本格的なトレースも行われていない。

ONA20の2日目のキーノートスピーカー、3大ネットワークの夕方のニュースで初のアンカーをCBSで努め、その後ヤフーニュースの映像部門のアンカーを経て独立したケーティ・クーリックは「もう何が起こってもおかしくない状況。全ての可能性をリストに加えておかなくてはならない」と発言した。