日本株市場、10月の冷え込み…からの「劇的な回復」が期待されるワケ

日本株の「黄金期」へ
村上 尚己 プロフィール

より重要な点は、菅政権が実行する経済政策だと筆者は考えている。菅政権がとりかかっている、規制緩和や見直し、行政組織の効率化が実現すれば、国民の利便性が高まるだろう。高止まっている携帯電話料金が適切な競争促進政策によって低下すれば、家計の可処分所得を底上げする政策と位置付けられる。

一方で、コロナ感染抑止策を継続しつつ、最悪期を脱した経済活動を正常化させて経済活動を立て直すことは、菅政権が最も力を入れるべき政策であり、国民の生活により直結する事案だろう。コロナの被害が大きい旅行業などの回復を後押しするGoToトラベル政策、持続化給付金等の財政支援の延長など、経済復調を後押しさせる政策を行っている。これらの財政政策は相応に評価できるし、2021年以降も延長すべき政策メニューは多い。

 

それでもまだ足りない

ただ、大きく落ち込んだ経済活動を立て直す対応としては不十分ではないか。十分な規模の財政政策がなければ、経済活動の復調が遅れてしまい、高まった失業率がなかなか低下しない。既に企業は新卒採用者数を減らすとの計画が報じられるなど、労働市場の冷え込みが若者の就職活動にも悪影響を及ぼしている。適切な経済安定化政策を実現できずにデフレ不況を長引かせて国民からの支持を失ったのが2012年までの民主党政権だが、同様の経済状況になれば菅政権にとって致命傷になるだろう。

安倍政権が発足した当初の2013年に実現した大規模な金融財政政策の効果は大きく、これが日本の憲政史上最長となった安倍政権の基盤を作った。同様に、菅政権は金融財政を強化する余地は大きいだろう。

コロナの危機対応で発動された財政支出拡大を経済が正常化するフェーズでも継続することで、経済成長を高めて2%インフレと完全雇用を実現することが、政権基盤を強める有効な戦略になる。具体的には、既存の補正予算の未使用分である予備費の早期執行、それに加えて第3次補正予算と2021年度予算策定に際して、減税や支出拡大を実現することである。これが実現すれば、菅政権の経済政策への金融市場による期待が再び高まるだろう。