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最初に見たものを親だと認識してしまう「刷り込み」の発見者は誰?

サイエンス365days

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

動物は最初に目にしたものを親だと認識して……

1903年の今日、オーストリアの動物行動学者コンラート・ツァハリアス・ローレンツ(Konrad Zacharias Lorenz、1903-1989)が誕生しました。

K.Z.ローレンツ Photo by Getty Images

彼は子供の頃から様々な動物を飼ったり、セルマ・ラーゲルレーヴ(Selma Lagerlof、1858-1940)の『ニルスのふしぎな旅』や、ラドヤード・キプリング(Rudyard Kipling、1865-1936)の『ジャングル・ブック』といった、動物が登場する本を愛読していました。

 

ローレンツの主な業績として「刷り込み」の研究があります。刷り込みとは生物の学習形態の一種で、例としては鳥が孵化して最初に見たものを親と認識し、追いかけていくといったものがあります。

ローレンツは、ハイイロガンの卵を人工孵化させてガチョウに育てさせようとしました。ガチョウが孵化させた雛はガチョウの後について行きましたが、ローレンツの目の前で孵化した雛は、ガチョウではなくローレンツの方を追ったのです。

ローレンツとハイイロガン Photo by Getty Images

ローレンツは近代科学的な方法論で動物行動学を発展させた第一人者であると同時に、一般向けの啓蒙書も多数執筆する優れた科学の伝道者でもありました。特に有名なのは1949年に刊行された『ソロモンの指環』です。動物たちの生態をユーモラスに綴った本作は世界中で好評を博し、現在でも動物行動学の入門書として読み続けられています。

また、1973年にはニコ・ティンバーゲン(Nikolaas Tinbergen、1907-1988年)、カール・フォン・フリッシュ(Karl Ritter von Frisch、1886-1982)と共にノーベル医学生理学賞を受賞しました。