日本がデジタルで世界をリードする…!? photo/iStock

“デジタル後進国”のニッポン、じつは世界を「リード」する可能性が出てきた…!

米国にも中国にもできないことがある

新型コロナウイルスの感染拡大で日常が一変してきた――。

いまや世界中で、人と人との結びつきは、ほぼあらゆるシーンでデジタルによって形成される。通勤地獄を緩和して、仕事の効率を高めるテレワークも浸透しており、新型コロナが生んだ不可逆的な転換点として歴史に刻まれるだろう。

世界ではGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)を筆頭に、データを蓄積するプラットフォーマーのパワーが拡大。独占への警戒感からEU(欧州連合)や米政府とGAFAとの緊張が高まる一方で、Facebookがデジタル通貨「リブラ」の発行を打ち出すと、中国もデジタル人民元の実証実験に入り、基軸通貨ドルの覇権への挑戦も始まっている。新型コロナで世界のデジタル化がさらに加速する中、「デジタル後進国」である日本は、どうすれば世界で生き残れるのか―。そんな危機感がいま高まっている。

そこで今回は、新著『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』で、デジタル化による変革をダイナミックに描いた経営共創基盤(IGPI)マネージングディレクターの塩野誠氏と、話題作『よこどり 小説メガバンク人事抗争』で金融のデジタル化を独自の切り口で描いた作家の小野一起氏が緊急対談。じつはデジタル後進国である日本こそが、世界をリードする可能性があるというのだが、いったいなぜ…?

GAFAに勝てる…のか? photo/gettyimages
 

日本が「デジタル」で世界をリードする…!?

小野 塩野さんは、新著『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』の中で、安全保障分野で米中の対立が深まるなどの国際秩序の変化の中で、デジタル後進国の日本がむしろデジタルで世界をリードする勝機があると指摘しています。この分析には大いに勇気づけられました。日本が勝機を掴むために、菅義偉首相が掲げるデジタル庁には、どんな戦略が必要となるのか。まず、そこから話を始めましょう。

塩野 まず大枠からお話しましょう。行政手続きのオンライン化の面でみると日本は完全な後進国です。ここをしっかり認識しないと話は始まりません。米中だけでなく、スウェーデンやフィンランド、エストニアといった北欧・バルト3国などの中小国にも大きく差を付けられています。例えば、エストニアは日本に比べると人口が100分の1の小国です。しかし、婚姻や不動産取引などを除いてオンラインで納税など様々な行政手続きが簡単に済ませられます。すでに電子政府になっていると言えるでしょう。