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ドイツ政財界が「中国の独裁政治」を問題視しない残念な理由

ウイグル人の強制労働も見て見ぬふりで

ウイグル人の強制労働問題

ドイツの主要メディアは、中国批判に関しては極めて遠慮がちだが、発行部数の一番多い大衆紙「ビルト」だけは、果敢に中国に挑んでいる。

今年4月、中国はコロナウイルスを蔓延させた責任をとって世界各国に賠償金を支払うべきだという過激な記事を載せ、中国大使館と泥仕合いになった事件は、記憶に新しい。この記事を書いたのは同紙の編集主幹のユリアン・ライヒェルトで、彼は勝手にドイツの請求額を1500億ユーロ(約18兆円)と試算していた。

そのビルト紙が10月7日、今度は、新疆ウイグルにおける強制労働を取り上げた。同紙は、2017〜19年の間に中国で少なくとも8万人のウイグル人が強制労働に従事し、少なくとも83社の国際企業がその受益者となっているというオーストラリアの政府系シンクタンク「Australian Strategic Policy Institute(以下ASPI)」の記事を紹介している。

https://www.aspi.org.au/report/uyghurs-sale

ドイツの企業として名前が上がっているのが、アディダス、プーマ、BMW、ダイムラー、フォルクスワーゲン、シーメンス。

 
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そこで、名前の上がったドイツ企業にビルト紙が問い合わせたところ、ダイムラーを除く5社は、「複数の有名な調査会社に工場の人権状況についての精査を依頼した結果、強制労働を示唆するものは一つとして見つからなかった」などとして、全社とも人権侵害の可能性を否定した。それどころかBMW社は、ASPIの報告は誤りであるとまで言ったという。ダイムラー社は回答なし。

一方、EUの欧州議会では、現在、ラファエル・グルックマン議員(フランス人)がこの問題に取り組み始めた。「人権侵害の犠牲の上で作られている製品はヨーロッパでの販売に相応しくない」として、ウイグル人が強制労働させられている工場の製品を使用することをやめさせるためのキャンペーンも始まっている。

アパレルのH&Mは、人権団体の抗議に対応して、最近、中国の製糸工場との取引を止めたばかりだという。

さらにEUでは今、やはりグルックマン氏の音頭で、「納入業者法」が制定されようとしている。これは、それがたとえ外国であっても、環境汚染や人権侵害を犯して作られた製品、半製品などの使用を禁止する法律だ。氏は、メルケル独首相とマクロン仏大統領がこの問題をちゃんと取り上げるべきだとも要求している。

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