photo bu Gettyimages

監視と利便性で揺れるデジタルID、国民に信頼されるシステムとは

これがなければ脱ハンコは不可能

ハンコは不便なものだが、国民監視の道具としても使えない。「脱ハンコ」でデジタルIDが導入されると、国民監視の道具に使われる危険がある。そうさせないためには、どうしたらよいか?

photo by Gettyimages

「脱ハンコ」はデジタルIDなしでは実現できない

菅内閣は「脱ハンコ」の実現を表明している。これは「これまで印を押していたのを押さなくて済む」ということではない。それだけでは書類の真正性を証明できないからだ。

10月18日の「『脱ハンコ』は『脱中央集権』で国民の信頼を得なければ成功しない」で述べたように、紙の仕組みに代えて、オンライン化する。それに電子署名する。そして、その署名が正しいことを証明するために、電子証明する。このような「デジタルID」の仕組みに置き換える必要がある。

現在の日本の「マイナンバーカード」は、デジタルIDの一種だ。脱ハンコ化=行政手続きのオンライン化を実現するには、ほとんどの国民がデジタルIDをもつことが必要だ。

ところが、実際にはデジタルIDは普及していない。その理由はこれまでの記事で述べてきたが、まとめればつぎの通りだ。

マイナンバーカードを取得しても、それほど便利なことにはならない。だから取得しない。

政府はマイナポイントというものを用いてカードを取得させようとしている。もしマイナンバーカードが便利なものなら、人々は進んでそれを持とうとするだろう。ポイントを与えなくてはならないというのは、マイナンバーカードを持っていてもあまり意味がないことの証拠だ。

マインバーカードの前身である「住基ネットカード」が普及しなかったのも、使い途がなかったからだ。

マイナンバーカードが普及するのは、民間のサービスでの本人確認や契約に広く使われるようになった時である。例えば、オンラインバンキングでのログインに使われるようになったときだ。

 

しかし、日本では、そうした利用はおそらくできないだろう。資産把握のためだという反対が起こるからだ。これは、かって提案されたグリーンカードが実現しなかった理由だ。

資産把握が実際になされるかどうかは別として、絶対にそうならないとは言えない。住基ネットの場合の違憲訴訟も、このような背景から起きたものだ。