兵士が機械に殺される…現代の戦争で使われる「軍事ドローン」の驚くべき実態

日本の民生ドローンとはまったく別物
黒井 文太郎 プロフィール

軍事ドローンに対処するには?

しかし、無人機は必ずしも万能というわけではない。

まず、自律飛行以外では操縦者との電波通信が必要だから、ジャミング(電波妨害)に弱いという弱点がある。実際、世界の主要国では、ドローンに対するジャミング機器の開発が進んでいる。

また、無人機によるレーダー施設への攻撃についての対応策としては、デコイ(おとり)で誤誘導することも考えられる。しかし、アルメニア軍は最先端の軍隊ではなく、そうした効果的な兵器を装備していなかったということだ。

また、衛星通信が使えないアゼルバイジャン軍は、敵軍からそう遠くない地点にドローン管制装備か、電波中継機器を前進させる必要がある。仮にアルメニア軍の側に電波発信源を攻撃できる兵器があれば、容易に潰して無人機を無効化できる。

バイラクタルTB2[Photo by gettyimages]
 

つまり、今回無人機がこれだけ戦果を上げたのは、相手が小国の軍隊だったからという面も大きい。 “正規軍同士の戦争における無人機の戦果”に注目すると、今回のナゴルノ・カラバフ戦争は過去に例がないほど画期的な戦いではあるが、あくまで最先端とは言い難い小国同士の戦争での話であり、無人機がこれからの戦争のかたちを一変するゲームチェンジャーだと短絡的に考えることはできない。

なお、ドローンと聞くと、民生用ドローンのイメージから安価な兵器と連想されるかもしれないが、必ずしもそうではない。ドローンの中には比較的安価なものもあるが、たとえばIAIハロップはおそらく1機の価格は日本円で億単位になり、他の巡航ミサイルと比べても高額になる。バイラクタルTB2も1機約5億円とみられ、決して安い兵器ではない。

少なくとも今回のナゴルノ・カラバフ戦争で言えば、ドローンによって戦争が安上がりになったという話ではなさそうだ。