兵士が機械に殺される…現代の戦争で使われる「軍事ドローン」の驚くべき実態

日本の民生ドローンとはまったく別物
黒井 文太郎 プロフィール

このように、アゼルバイジャン軍は、徘徊型自爆ドローンでアルメニア軍の防空システムを潰すとともに、滞空型の無人攻撃機を投入して敵の地上戦力を破壊した。

もちろん無人機だけの力というわけではないが、10月半ばからのアゼルバイジャン軍の進撃は、たしかにこうした無人機の効果的な運用によるところも大きい。

バイラクタルTB2[Photo by gettyimages]
 

ただし、アゼルバイジャンは小国なので、独自の衛星通信などは保有していない。したがって、無人機との通信は、基本的には電波が直接届く(電波の「見通し線」という)範囲内でしか行えない。無人機を高度数千メールで運用する場合、その距離はせいぜい百数十km程度になる。

したがって、無人機で敵陣の奥深くを攻撃することは不可能だが、両軍が睨み合う最前線での戦闘では大いに戦果を上げている。局地戦という状況でドローンの効果的な運用が効果を上げたのが、今回の戦闘だと言える。

もちろんアゼルバイジャンも無人機だけを使っているわけではない。たとえばアルメニア軍のロシア製高性能防空システムを破壊する際などには、無人機で位置を特定したうえで、弾道ミサイルで攻撃している。要は、無人機をうまく運用したうえで、他の兵器と使い分けているのである。

今回、アゼルバイジャンは、事前に多くの無人機を準備したことで、これだけの大攻勢に出ることができたというのが実態だろう。とくにアゼルバイジャンは、前述したようにトルコから強力な軍事援助を受けており、こうした無人機も多数供給されている。イスラエルの防衛企業もアゼルバイジャンを顧客としている。