兵士が機械に殺される…現代の戦争で使われる「軍事ドローン」の驚くべき実態

日本の民生ドローンとはまったく別物
黒井 文太郎 プロフィール

その最大の特徴は、敵のレーダーを自動的に破壊できることだ。前もって設定されたプログラムによって、ハロップは自律的に敵エリアの上空をロイタリング(徘徊)し、攻撃目標を探す。

当然、敵はレーダーを照射して飛行物体を探索するが、ハロップはそのレーダー波をキャッチすると、発信源を自動的に攻撃するようにプログラムされている。これによってアゼルバイジャン軍は、アルメニア軍の防空システムの多くを破壊することができた。言ってみれば、アルメニア軍の“空への備え”を潰したわけである。

また、それだけでなく、操縦者が画像センサーを頼りに遠隔操作して、自爆攻撃することもできる。「操縦できるミサイル」といったイメージが近いだろうか。これによって、前方の防御を強化したアルメニア軍の陣地や、移動中の戦車などが多数破壊されている。このハロップが、戦局をアゼルバイジャン側に大きく傾けたと言えるだろう。

2013年にパリの航空ショーで展示されたハロップ[Photo by gettyimages]
 

こうして防空システムを潰されたアルメニア軍は上空の航空機を探知する能力を激減させたが、さらにアゼルバイジャン軍はそこにもう一種のドローン、バイラクタルTB2を投入した。シリアやリビアの内戦でも使用されたドローンである。こちらは偵察と攻撃の両方を目的としていて、多種のミサイルや精密誘導爆弾を搭載する。飛航継続時間は、なんと最大27時間もある。

これによって、アゼルバイジャン軍は、アルメニア軍の防御陣地や前線拠点、行軍中の部隊、さらには戦車や装甲車を多数、破壊できた。アルメニア軍は戦車に草木や擬装網などでカムフラージュもしているが、赤外線センサーなら丸見えであり、容易に破壊されている。

バイラクタルTB2は高度5000m以上での作戦運用が可能で、アルメニア軍の主な対空兵器の射高では対応がなかなか難しく、やはり初戦から大きな戦果を上げている。