トルコ製の無人攻撃機バイラクタルTB2[Photo by gettyimages]

兵士が機械に殺される…現代の戦争で使われる「軍事ドローン」の驚くべき実態

日本の民生ドローンとはまったく別物

軍事ドローンを使った現代の戦争

9月27日に始まったアゼルバイジャン西部のナゴルノ・カラバフ(「カラバフ山地」の意)地方での戦争で、10月半ばからアゼルバイジャン軍が南部戦線を中心にアルメニア軍(ナゴルノ・カラバフ国防軍)を撃破し、優勢に進撃している。今年7月から断続的に続いてきた戦闘だが、すでに勢いの差は明確で、アルメニア側の敗北の色が濃厚になってきた。

今回、アゼルバイジャン軍が優勢な理由のひとつが、ドローン(無人機)を活用したことだ。アゼルバイジャンは初戦からドローンを多用しており、アルメニア軍の防空装備、防御陣地、それに戦車や装甲車を多数破壊するのに成功している。

もっとも、ドローンといっても、日本で空撮などによく使われているような民生品のマルチコプター式のものとはまったく違う。アゼルバイジャン軍の今回の進撃の立役者としては、とくに2種類のドローンが注目されている。イスラエル製の「IAIハロップ」とトルコ製の「バイラクタルTB2」で、前者は「徘徊型自爆機」、後者は「滞空型無人攻撃機」というべき兵器である。まず今回の戦争の概略を解説したうえで、いかにドローンが活躍したのか紹介したい。

「IAIハロップ」の模型[Photo by gettyimages]
 

両国の争いは40年前から続く…

紛争の火種となったカラバフ地域はアゼルバイジャンの国内にありながら、もともとアルメニア人の住民が多く、かねてから両国の係争地だった。ソ連末期の1980年代後半から紛争が始まり、1990年代に入ると両国は本格的な戦争に突入。アルメニア優勢で進み、1994年に一度は停戦となったが、それまでにアルメニアは同地域とその周辺部を広範囲に占領した。

以来、約100万人ものアゼルバイジャン人住民が追い出されて避難民となっている。現在、アルメニアがアゼルバイジャンから奪った占領地は、アゼルバイジャン全体の約20%に相当する。

冷戦終結時前後に世界各地で起きた民族紛争の典型のような戦争だが、両国の戦争はなかなか終わらず、その後も現在に至るまで何度も戦闘が起きている。アゼルバイジャン側からすれば、失われた土地を取り返す戦いであり、アルメニア側からすれば同胞を守る戦いということで、互いに一歩も引くことはない。