一体なぜ…「ワゴンR」と「ムーヴ」がまったく売れなくなったワケ

N-BOXの登場がすべてを変えた
渡辺 陽一郎 プロフィール

「賢い選択感」に満ちたN-BOX

それならどうして初代N-BOXが好調に売れたのか、まずは前輪駆動の軽乗用車の中では、室内が圧倒的に広いことだ。エンジンは新開発され、補機類の配置も含めて縦長にデザインされている。ボンネットは短くなり、有効室内長を長く確保できた。

プラットフォームも新開発され、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は軽自動車で最長だ。後席の頭上と足元の空間は際立って広く、畳めば大容量の荷室に変更される。燃料タンクを前席の下に搭載したから床も低く、自転車を積む時にも前輪を大きく持ち上げる必要はない。

N-BOXの車内を初めて見た人は、誰もがその広さに驚いた。自分がこの広さを必要とするか否かにかかわらず、購買意欲を沸き立てられた。軽自動車は生活のツールだから、実用性を伴ったサプライズがあると、販売促進の効果も大きい。

 

外観のデザインも巧みだった。ステップワゴンに似た雰囲気があり、ボリューム感も伴うから軽自動車を意識させない。価格も小型車並みに高いが、車内の広さはそれ以上だから、むしろトクした気分を味わえた。

小さくて機能が高いことは、ノートパソコンやスマートフォンと同様だ。最近のトレンドに沿った一種の凝縮感が伴って、賢い選択をしている印象もあった

発売時期も良かった。スライドドアを備えたミニバンは、1990年代の中盤から普及を開始している。そのために1980年代の後半以降に生まれた世代には、スライドドアに親しんで育った人も多い。N-BOXなどのスーパーハイトワゴンは、そのようなユーザーに歓迎された。

安全装備や環境性能の向上に伴うクルマの価格上昇も、スーパーハイトワゴンの売れ行きに影響を与えている。クルマの価格が高まったのに、平均所得は1990年代の後半をピークに下降したから、小さなクルマに乗り替えるユーザーが増えた。

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