一体なぜ…「ワゴンR」と「ムーヴ」がまったく売れなくなったワケ

N-BOXの登場がすべてを変えた
渡辺 陽一郎 プロフィール

ワゴンRですら「背が低い」車種に

この流れを変えたのが、1993年に発売された初代スズキワゴンRだ。背の高いミニバン風のボディで車内が広く、それまでの軽自動車とは異なり4名で乗車しても快適だった。後席を畳むと荷物をたくさん積める。初代ワゴンRは「軽自動車は価格の安さがメリット」「軽自動車は小型車の下に位置するクルマ」という価値観とヒエラルキーに大きな変化を与えた。

そのためにワゴンRの届け出台数は、年を経るごとに増えていった。クルマの売れ行きは、通常は発売直後が最も多く、時間の経過に伴って下がっていくがワゴンRは違う。1994年は13万台、1995年は18万台、1996年には20万台に達した。

 

それはワゴンRと一緒に、背の高い軽自動車のコンセプトが世の中に浸透する過程でもあった。1995年にはワゴンRのライバル車となる初代ダイハツムーヴも登場して、背の高い車種の普及と共に、軽自動車に対する世間の見方も変わっていった。

1998年10月には、安全性の向上を目的に軽自動車の規格が一新され、ボディが今と同じサイズに拡大された。この時には、ほぼ同時に16車種の新型軽自動車が登場している。背の高い車種では、ワゴンRとムーヴに加えて、ホンダライフ、三菱トッポBJ、スバルプレオなどの新型車が登場した。

軽自動車の売れ行きも一気に伸びて、2000年頃には、新車として売られるクルマの約30%を占めている。ワゴンRとムーヴが軽自動車の販売1位を争い、ライフもそれに続いた。2001年には三菱初代eKワゴンも発売され、全高が1550〜1700mmの軽自動車が好調に売れた。

しかし今の販売ランキングを見ると、上位に入るのは、前述の通り全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンだ。背の高い軽自動車の草分けとなったワゴンRは、2020年度上半期の届け出台数が、同じスズキのスペーシアに比べて約半分に留まる。

ムーヴはスライドドアを備えた派生車種のムーヴキャンバスの台数を除くと、タントの半分以下になってしまう。ホンダのN-WGNは、N-BOXよりも設計が新しくパーキングブレーキも電動式なのに、売れ行きはN-BOXの約35%だ。

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