城ヶ崎など景勝地の多い三浦半島/photo by istock
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サリン事件の教訓…神奈川「異臭騒ぎ」、調査には自衛隊出動が正解だ

何かが起こってからでは遅いのに

もし死者が出ていたら…

本年5月下旬から、神奈川県で異臭騒ぎが続いている。はじめは、三浦半島の南端三浦市や横須賀市などで散発的に発生していたものが、最近では頻度もエリアも拡大して横浜市などでも原因不明の異臭が発生するようになった。

また、これに反応するように、千葉県でも昨年5月から異臭に関する通報が相次いでいることが報じられた。

この臭いについては、「シンナーの臭い」とか「ゴムが焼けたような臭い」や「ガスのような臭い」というようなものまで、まちまちである。しかし、ここに共通しているのは、人間が本能的に「体に害を及ぼす」と感じるような臭いであるというものだ。だからこそ、この臭いを嗅いだ人が「119番」に通報するような騒ぎとなるのだろう。

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今月12日になって、初めて横浜市の消防職員が異臭に気づいてすぐに周辺の空気を採集することに成功し、同市の環境科学研究所に持ち込んで分析を行った。この結果、ガソリンなどの燃料の蒸発ガスなどに含まれる、「イソペンタンやペンタン、ブタン」という物質が通常の大気中よりも高い濃度で検出され、多いもの(イソペンタン)では通常の10倍以上の濃度であったという。

また、14日横須賀で採取された空気からも同様の物質が高濃度で検出された。これらが、今回の臭いの一要素であることは、ほぼ間違いないと思われる。しかしながら、この発生源や発生原因については未だに判明していない。

今回の一連の異臭騒動については、安全保障の観点からすれば、非常に緩いと言わざるを得ない。もっと危機意識をもって、国が積極的に対応すべき事案であると筆者は考える。

というのも、12日に採集した空気の分析結果では、「ただちに健康に影響を及ぼすことはない」と伝えられているが、今回採集されたサンプリングがごく少数であることや、未だこの発生源や原因が特定されていないことを考えると、今後どのような状況にこれが進展するか全く予想できないからだ。このような場合には、常に「最悪の事態も予期してこれに備える」というのが危機管理の原則である。

仮に、この臭いの素である物質によって死者が発生していれば、事態はもっと違う展開になっていたのだろう。しかし、今後は分からない。今判明している物質は、ほんの一部なのかも知れない。死者が出てからでは遅いのである。