〔PHOTO〕iStock

「人間の死体」に魅了された19歳の凶行…神奈川「美女解体事件」のすべて

立て続けに行われた犯行

近年、あまり聞かれなくなった社会的犯罪に「墓荒らし」がある。

読んで字の如く、墓を暴き棺に納められている遺骨や遺体、埋葬物を遺族の許可なく取り出すことである。遺体は解剖学の実験および漢方薬の材料にするために特定の業者などに売られたほか、脅迫目的で使われることもある(骨壺を盗み遺族から金品を要求するなど。1993年には漫画『サザエさん』の作者長谷川町子の遺骨が盗まれ金品が要求された事件が発生している)。

現在では、墓地のセキュリティが厳しくなったこともあり、このような犯罪が行われるケースはほとんどなくなったが、土葬が中心であったかつての日本では墓が暴かれるという事件がたびたび発生している。

今回、ご紹介するのは、1937(昭和12)年~1938(昭和13)年に、土葬の風習がまだ根強くあった神奈川県の某村で発生した18歳少年による猟奇的な「墓荒らし事件」である。彼は死体に魅了され、赤ん坊、若い女性を対象に、立て続けに凶行を引き起こした。

〔PHOTO〕iStock
 

消えた赤ん坊の遺体

1937年1月19日の寒い朝、神奈川県のA村にある共同墓地に、近隣住民の63歳の女性が日課である掃除のためにやってきた。いつものように掃除をおこなっていると、不自然に盛り上がっている土山に気が付いた。

女性が土山へ近づいてみると、そばには墓標が倒れ、棺を掘り返したような跡があった。

女性はすぐに墓の持ち主である遺族に報告した。この場所にもともと埋められていたのは、この地に住む役人の息子・太郎くん(仮名)で、太郎くんは生まれてすぐに病気となり、生後2か月でこの世を去った。早すぎる死を悲しんだ両親は「せめてお墓だけは立派に」と赤ん坊用の棺を用意し3日ほど前に丁寧に埋葬したのだった。だが、その小さな棺や遺体は見知らぬ誰かによって掘り返されていたのだ。