©2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

「毎日が交通事故です」大相撲力士たちの“超人的で異常な日常”

映画『相撲道』が映し出した風景とは

大相撲の危機的状況

コロナ禍において大相撲興行が危機に立たされている。本場所開催の観客動員に苦戦しているのだ。

一マス一人という制限を付け、2500人に上限を設定しているのだが、チケットが売り切れになる日は、ほぼ無い。大相撲人気が底を打った2011年九州場所2日目が近年では最も動員が少なかったのだが、その時でさえ約2000人のファンが会場内には居たと言われているから、今の苦戦ぶりがどれだけ深刻か分かるだろう。

©2020「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」製作委員会

現地観戦は高齢者に支えられていると言っても過言ではないが、椅子席を支える地方からの観光客や海外からの観光客もほぼ居ない。入り待ちや出待ち目当ての、力士とのふれあいを楽しむタイプの観客も姿を消している。

言い換えると、今の大相撲の動員を支えているのは、国技館の近場に住んでいて、高齢ではない、取組に集中できるタイプの観客のみ、ということだ。近年、満員御礼が相次いではいたが、フタを開けてみると次世代のファンがそれほど増えていない実態が明らかになった格好である。

同じようにコロナ禍の影響は受けているものの、プロ野球を見てみると、例えば10月3日と4日の甲子園では2万人を超える動員があった。大相撲がいかに如実に打撃を受けているかが分かる。

大相撲はトップニュースとして取り上げられることが多く、ヤフーニュースでも野球・サッカーに続いてスポーツカテゴリの中では3位(それも4位以下とはかなりの差があるそうだ)に入る競技だという話を先日聞いた。だが、この数ヵ月で取り上げられたニュースの多くは不祥事絡みのものだった。

相撲部屋における日常的なパワハラや、力士・親方によるガイドライン違反など、トップニュースにはなるが世間の反応は薄く、連日ワイドショーで取り上げられる「貴の乱」の時のような大きな騒動にはならない。相撲叩きを見なくてよいのはありがたいことだが、厳しい言い方をすれば、「もはや失う信頼すら存在しない」とも言えるだろう。

相撲ファンとそれ以外の温度差が非常に激しく、それでも以前は動員も視聴率も安定していたのだが、コロナによって足元が大きく揺らいだ格好だ。インスタグラムやツイッターなどのSNS戦略も相撲協会は盛んに行っていて、「スー女」と呼ばれる女性ファンの開拓にも一定の効果は得られている。だが、現在の状況を打開するまでには至らない。

 

大相撲は今後、このコロナ禍を機に長い低迷を余儀なくされるのかーー。