「ポジティブ」というイメージに縛られていた

「ただ、」優佳さんは続ける。

「かばうわけではありませんが、彼にはプレッシャーもあったと思います。メディアには金メダルに1番近い男と謳われ、世間の期待は高まる一方。ポジティブであることを公言している夫でも、さすがに重圧を感じていたはずです。

しかも、当時私は2人目の子を妊娠中。自分と子どものことでいっぱいいっぱいで、夫の心の内を聞いてあげられる余裕がなかった。もともと弱音は吐かない人ではありますが、そんな状況で余計に言い出しにくかったのかもしれません。

また彼自身にも、『ポジティブ』というイメージに縛られていた部分はあったような気がします。ポジティブでいることは大切ですが、苦しくないわけがないのだから、本当に心を許している相手には、弱い部分を見せてもいいんじゃないかなと思うんですけどね……。

そんな時に決まったのがオリンピックの開催延期です。街でかけられる声も『頑張ってください』から『残念だったね』に変わっていくなか、それでも彼は笑顔で『頑張ります!』と前向きな言葉を返していた。もしかしたら、心の中と表に出す言葉の間にものすごいギャップがあって、それも彼のフラストレーションの一因になったのではないかと思います。

もちろん、だからといって今回のような行為をしていいことにはなりませんが、彼の姿を近くで見ていて、そんなふうに感じていたのも事実です」

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そんなゆるい覚悟で結婚したわけじゃない

目の前にいるのは、「五輪代表のスーパースターに浮気されたかわいそうな妻」というよりも「瀬戸大也という人を愛して結婚し、現実に向き合っているひとりの女性」の姿だ。「でも、別れたほうがいいのではとおっしゃる人も多いのではありませんか?」と聞くときっぱりとこう答えた。

「今回の報道が出た時、もちろん別れることも頭を過りました。でもあまりのタイミングに、途中から『神様が私たちを試してるんじゃないかな?』と思い始めたんですよね。これは『瀬戸大也は一度どん底に落ちないと変われない』というメッセージなのだろうと。

人間である以上、誰だって失敗はします。大事なのは、その失敗から何を学ぶか。結婚式で『病める時も健やかなる時も』と誓った以上、私自身この騒動を経た彼がどう変わるか見届けてからじゃないと離れられない。

今の段階で、感情的になって離婚することは簡単です。紙にサインをすればいいのですから。でもそれでは『あのあと大也は変われたんだろうか?』というモヤモヤが残ったままになってしまいます。

まずはしっかり夫婦で向き合って、それから判断しても遅くはない。そもそも私は、そんなゆるい覚悟で結婚したわけじゃありません。ただただ彼と一緒に居たくて、彼の夢を一緒に追いかけたかった。離婚をするのは、事の顛末を見極めてからでも遅くはないと思うようになったのです」

競技生活を送っていた時の優佳さん。大阪と東京との遠距離恋愛だったが、競技生活をやめ、東京に来て結婚することに 写真提供/馬淵優佳