水泳日本五輪代表の瀬戸大也選手の不倫が週刊新潮で報じられたのは、2020年9月24日のこと。保育園のお迎えの前の時間を使った不倫という衝撃と、それ以外の浮気の話も露出し、世論は騒然となった。ANAの契約解除、味の素などの広告契約終了、競泳日本代表主将辞退に加え、10月13日火曜日には日本水泳連盟から年内の活動停止、2020年下半期のスポーツ振興基金助成金推薦停止、今後の教育プログラム受講などの処分を言い渡された。

妻の優佳さんは飛込の元日本代表だが、2017年に瀬戸大也選手と結婚。自身は第一線を退き、瀬戸選手を支えるためにアスリートフードマイスターの資格も取得した。2018年6月には第一子、そして2020年3月には第二子も出産している。
優佳さんは一体今回の問題をどのように考えているのか。率直な思いを聞いた。

馬淵優佳(まぶち・ゆか)1995年2月5日、兵庫県出身。実父は元日本代表飛込ヘッドコーチの馬淵崇英氏。父の指導のもと、3歳から飛込の練習を始める。小学4年生のときから本格的に競技をはじめ、2009年には東アジア大会3メートル板飛込みで銅メダル獲得。2011年には世界選手権代表選考会3メートル板飛び込みで優勝、世界選手権に初出場。立命館大学進学後も日本学生選手権2連覇を達成する。2017年に瀬戸大也選手と結婚し、サポートに徹するために現役を引退。2018年に第一子、2020年に第二子を出産。

構成・文/上田恵子 撮影/杉山和行

感情の糸がプチッと切れた

「私が今回のことを知ったのは、報道が出る2日前です。週刊誌の編集部から夫に掲載の連絡が入ったあと、彼から『話がある』と打ち明けられました。

その日、私が娘たちと一緒にいたのは夫の実家。義父は不在でしたが義母がおり、2人きりで話したいという彼の言葉に従って、2人になれる場所で事の経緯を聞きました。
不思議なことに……話を聞かされた自分がそのとき何を思ったか、夫にどんなふうに返したか、振り返ってみても一切思い出せないのです」

硬い表情で優佳さんは語り始めた Phtoto by 杉山和行

そう言った途端、目にたくさんの涙があふれてきて、優佳さんは話せなくなってしまった。5分ほどもたっただろうか。落ち着きを取り戻すと、しばらくたって絞り出すように言葉を選ぶ。

「――すみません、今も話そうとするとあの時の感情が蘇ってしまって、上手く言葉にできませんが……。そのときは感情の糸がプチッと切れた感じと言いますか、怒りと悲しみが同時に襲ってきたと言いますか……。嘆き悲しむというのとも違う、あれは人生で初めて味わう感覚でした。

ただ何を言ったかは記憶にないものの、彼にぶつかっていったことだけははっきり覚えています。翌日、なぜか腕が筋肉痛になったくらい。彼は『これからはちゃんとするから』と謝ってくれましたが、あまりにショックが大きすぎて、何を言われても心に響かなかった。事情を知った義母も、『なぜ?』と唖然としていました。

混乱した精神状態のまま夫や子どもたちと向き合うのは難しく、2人の娘の世話は一時的に義父母にお願いすることに。私はマスコミを避けるため、とりあえず自宅を出て過ごすことになりました」