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フジテレビ『鬼滅の刃』“全集中”放送への批判が的外れだといえる理由

今回も「便乗するな」の声が多かったが
木村 隆志 プロフィール

「放送するだけ」もテレビの重要な役割

ただ、すべての前提として忘れてはいけないのは、原作者やアニメ制作者の凄さと、それに感動してレコメンドすることで世間に広めたファンの力。

現在の社会現象は、昨年の一次的なヒットという土台があってこそのものであり、それは作り手とファンが作り上げた功績にほかならない。

今年その土台に、キー局のゴールデン・プライムタイムという力が上乗せされたことで、さらに大きい二次的なヒットにつながったのだ。

ネット上には「テレビは後追いで便乗しただけ」という批判も少なくないが、前述したように作り手が喜び、ファンが増えたのだから、ビジネスシーンの観点では立役者の一角と言える。もともとテレビは「作って、放送する」ことがすべてでなく、「放送するだけ」でも作り手や視聴者にメリットを与えられるメディアなのだ。

現在は22巻まで刊行されている『鬼滅の刃』。次が最終巻になる予定だ
 

もう少しアニメ制作者にふれておくと、実は筆者は少し前までアニメを手がけている『ufotable』のコンセプトカフェ「ufotable Cafe」の2軒隣に住んでいて、毎日前を通っていたほか、店にも行ったことがある。

熱心なファンが連日行列を作っていたように、以前から映像のクオリティに定評があり、カフェの来店客に話を聞くと「作画のディテールが細かくて凄い」「映像に独特な世界観があって引き込まれる」などと同社の作品を称賛していた。

カフェの来店客は大半が女性だったことも、『鬼滅の刃』が女性層に受けてヒットの加速度が増したことと合致する。

このような熱気が広がっていくほど、さまざまな企業とのタイアップにつながり、玩具メーカーはもちろん、ローソン、ダイドードリンコ、ユニクロ、くら寿司、進研ゼミなどのコラボ商品は増える一方。後追いでメリットを得ているのはフジテレビだけではなく、むしろもっと便乗している企業のほうが多い。