まず賛同できない人々の理由は至って単純。フジテレビのゴールデン・プライムタイムで放送すれば、ほぼ全国がカバーされるため、地方の人やネット環境が整っていない人にはありがたい。当然のことであるが、見る側にとっては、どこのテレビ局だろうが関係ないはずだ。
事実ネット上には、「フジテレビの放送で初めて『鬼滅の刃』を見て一気にファンになった。劇場に行くのが楽しみ」という人々の声が続出している。
『鬼滅の刃』そのものは昨年からヒットしていたが、これほどの国民的ヒット作になったのは地方在住者やネット環境の整っていない人々に届けられたからであり、フジテレビの貢献度も高いだろう。
何より、より多くの人々に届けられるのであれば、原作者やアニメ制作者たちが喜ばないわけがない。とりわけ今回のようにゴールデン・プライムタイムで放送すれば、映画のPRになるのはもちろん、それなりの報酬を手にでき、次作以降の資金やモチベーションにつながっていくのだから、いたずらな批判は見当違いではないか。
キー局のアニメ放送は、土日の朝か夕方、深夜に追いやられた状態になってひさしい。だからこそ関係者たちは『鬼滅の刃』のようなヒット作がきっかけとなって、テレビアニメ全体のポジションを上げていきたいところだろう。
いまだに「フジテレビはとにかく叩け」という意識の人をよく見かけるが、今回のような批判はテレビアニメの足を引っ張るだけだ。