漫画/伊藤理佐 文/FRaU編集部

完璧な義姉が泊まりにくることに…

「週末ねーちゃんうちに1泊させてもいいかな」
夫からそう言われたある平日。あなたならどうするだろうか。

しかも義姉はめちゃすごい人。地方の実家で夫の両親とくらし、子どももいる。毎日5人のご飯を作り、ボランティアで音楽療法士をやっているめっちゃ「できた人」で「たおやかでかわいらしい人」なのだ。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』17巻より

そんな義姉が泊まりにくる。普段頑張っている分、おもてなししてあげたい、でもいったい何でおもてなししたらいいんだろう?

そんなテーマを漫画にしているのが、伊藤理佐さんの『おいピータン!!』17巻2話の「おもてなし」である。似たようなことに遭遇した人は少なくないのではないだろうか。お料理上手、おもてなし上手な友人を自宅に招くことになったけど、いったい何をしたらいいものか……。自宅に泊まりにくるんだから、外食より家食がいいよね。じゃあ和食がいい? 洋食? エスニック?……? 

ちなみに『おいピータン!!』は20年以上続いているオムニバスショート漫画だ。手塚治虫漫画賞短編賞など多くの賞を受賞している名作で、現在は主人公のある事情につき『おいおいピータン!!』と名前を変えて「Kiss」で連載が続いている。描かれているのは、「食」を中心のテーマとしながら、日ごろ我々がもやもやしていることや、ドキッとするような事柄ばかり。そうそう、あるある!と思いながら、ムカッとしたことも笑い飛ばすことで、なんだか最後はすっきりすることができるのだ。これはあまりに人生のあるあるが描かれているので、20年の蓄積の中から厳選し、「おいピータン!!人間学」という連載で試し読みをご紹介させていただいている企画なのである。

豪勢なもの=おもてなしではない

素敵だなあと思っている人のことを、きちんとおもてなししてあげたい。そう思えばこそ、メニューやおもてなし方法も悩んでしまうもの。料理上手な人にあまりに変なものは出せないし、やっぱり喜んでほしい。10品くらい作らないとダメかな、嫌いなものってなんだろう……。

(C)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』17巻より

しかし、必死の思いで豪勢に作った料理でなくても、高級料理店でのケータリングでなくても、素晴らしいおもてなしはできるのではないだろうか。
ここで感じさせてくれるのは「おもてなしとは相手の気持ちに寄り添うこと」なんだということ。もちろん心のこもった料理はとても素敵だけれど、何より大切なのは来る人のことを考えること。豪華でなければおもてなしではないとは言えないことを、この漫画は教えてくれるのである。
さて、主人公夫妻はいったいどのようなおもてなしをしたのか。義姉も、おもてなしする主人公夫妻も、相手への思いが交差しているからこそ、素敵なおもてなしになるのだということを、感じさせてくれるのだ。