初代葱師・清水寅氏

「3Kだけど格好いい」農業を子供の“憧れ”にしたいーーネギ1本1万円で売る男が見る夢

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(29)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第29回は、3Kな農業のイメージをいかにして変えるかについてお届けします。残り2回です!>>今までの連載はこちら!

3Kだけど格好いい

「農業って素敵だ」「農業は楽しい」「農業は新しいライフスタイルだ」……。

そんなことを言う連中を、僕はいっさい信用しません。やってみてわかるのですが、農業は3K(汚い・臭い・きつい)そのものです。泥だらけになるし、汗臭い。肥料は臭うし、すぐ腰が痛くなる。天候に振り回されて気が休まらない。それでいて、たいして儲からない。

ネギ畑と清水寅氏

でも、僕はそんな農業が好きなのです。3Kであることを認めたうえで、「でも、俺たちがいないと、お前ら食えないんだよ。これって、すごくねえか?」と言いたい。

「汚くない。臭くない。きつくない。格好いい」じゃない。「汚い。臭い。きつい。でも、格好いい」のです。

農家は登山家に似ているのかもしれない、と思うときがあります。わざわざ重い荷物を背負って、大汗かいて、高い山に登るなんて、ありえないと思う人が大半のはず。でも、それが楽しくて仕方がないという人もいる。

 

始める前は農業に対して何のシンパシーもなかった僕ですが、山形に来てから、ずいぶん農家のおじいちゃん・おばあちゃんと友達になりました。何十年のうちに腰が完全に曲がってしまうほど、彼らは農作業を続けてきた。「その積み重ねを否定したくないな」という気分がどんどん強くなってきたのです。