初代葱師・清水寅氏

人件費は絶対に削らない! ネギ界の革命児が目指す理想の会社とは?

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(28)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第28回では、寅氏が目指す理想の会社の形についてお届けします。残り3回です!>>今までの連載はこちら!

自分のペースで働ける会社に

『ねぎびとカンパニー』にはいま30人ほどの従業員がいます。これ以外に臨時のパート・アルバイトを雇うので、ピーク時には50人以上の所帯になります。

2018年も2019年も120人ぐらいが面接を受けにきました。天童市は人口6万人の小さな町ですから、これは相当多い。かつては「危ない人だから付き合っちゃダメ」と言われた僕の会社が、いまや人気の職場になりつつある。

『ねぎびとカンパニー』ユニフォーム

人気の秘密は労働形態にあります。みんながみんな一日8時間働くのでなく、5時から8時までとか、13時から15時までとか、13時から18時までとか、8時間を小分けにして働けるようになっている。それぞれの事情に合わせて、好きな時間だけ仕事ができる。休みたいときには、いくらでも休める。

2019年に山形県ベストアグリ賞の最優秀賞である「農林水産大臣賞」をいただきましたが、審査員から高く評価していただいたのが、この労働形態でした。さまざまな事情のある人でも勤められると。

「8時間を一人じゃなくて、4時間を二人でやる。これは新しいと思います。こういう形だと主婦なんかは助かるんですよねえ」

そう褒めていただいた。

30人の従業員のうち、フルタイムで働いているのは7人だけです。彼らには月給が支払われますが、それ以外の人は時給で計算しています。

山形県の最低賃金は時給790円。新人は800円からのスタートになりますが、翌年には100円ぐらい時給が上がる。いまの最高時給は1100円ですが、これも2021年には1200円に上げる予定です。山形県ではかなり高い。

時給は意識的に上げるようにしています。社長の楽しみは従業員に少しでも多くの給料を払えるようになること。「うちは人件費をこれだけ削減した」なんて自慢している社長に対しては、「いったい何を勘違いしているの?」と思ってしまいます。

 

2019年からは社員旅行も始めました。1月末から2月にかけて、出荷作業の終わったところで、10人ほどで行きます。2019年は沖縄、2020年2月には大阪に行った。これからは海外にも連れていきたい。東京すら行ったことのない従業員に海外を見せる意味は大きい。お金を借りてでも続けるつもりです。