初代葱師・清水寅氏

「作業は時速で考える」ネギ1本1万円で売る男が語る、人を動かす方法

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(22)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第22回では「人に働いてもらうためには人の心理を読む」をお届けします。>>今までの連載はこちら!

作業を時速で考える

自分を働かせるときはモーレツです。とにかく結果が出るまで、24時間でも働く。僕は昔から「そもそも練習量が違うんだ」と主張したいとき、こんな数字を出します。

一般的な社会人が一日8時間、年間240日、40年間働くとすると、生涯労働時間は7.68万時間。でも、僕は一日18時間、しかも365日働く。40年間なら生涯労働時間は26.28万時間です。その差が18.6万時間。8時間労働で換算すれば、97年間に相当する時間です。体を壊そうが、それぐらいの勢いでやっている。

でも、他人に同じことは強要できません。だから、人を働かせるときは、その人の心理を読むようにしている。

※画像はイメージです。Photo by iStock
 

たとえば雑草を手取りするとき、「ネギの周囲25センチぶんの草だけ抜いてね」と頼むと、みんなまず間違いなく、その範囲に含まれていない通路部分の雑草も抜く。この事実に気づいたのは、つい3~4年前です。

雑草が生えていると、たとえ指示された場所でなくとも抜きたくなるのが人間なのです。その気配りはありがたいのですが、そのぶん作業ペースがひどく落ちる。時間内に担当区域を終わらせられないことも出てきます。

だから最近では、通路部分の雑草を管理機で退治したうえで「ネギの周囲25センチぶんの草だけ抜いてね」と頼むようにしています。

こうしておくだけで、雑草を抜くスピードは倍ぐらいになる。「この部分だけ取ればいいんだ」と思うと、気分が楽になるからです。ゴールが見えるので気持ちよく作業ができ、その結果、スピードも上がる。

僕は作業をすべて時速で考えています。雑草だらけの畑だと、手抜きで1時間に10メートルしか進めません。雑草がほとんどなければ、管理機で1時間900メートル進める。一日8時間働くとして、7.1キロもの差が出てくる。

どんどん進めれば気持ちがいいし、「これだけの面積をやったんだ!」と達成感があると、さらに仕事が速くなる。雑草がなるべく生えない環境にすることも、作業効率を上げることに貢献しているのです。