ホームセンターに卸すネギ苗

ネギ1本1万円で売る男、今度は「苗」で「農業界の七不思議」を変える!

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(19)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第19回では、新たに見出したビジネス「苗」をどう軌道に乗せたかをお届けします。>>今までの連載はこちら!

ネギとタマネギだけバラ苗の不思議

ネギの苗作りは、毎年恒例の作業。工夫に工夫を重ねたので、誰にも負けない自信があります。しかし、それが新ビジネスに結びつくなんて、考えてもいませんでした。偶然に偶然が重なって、動き出したのです。

実は、うちの師匠は、昔から苗ビジネスをやっていました。ナスやトマト、キュウリなどの苗を育て、苗屋さんや種屋さんに卸していた。それを農家の人たちが買うのです。そんな師匠が口癖のように言っていました。

「今後はタマネギの苗もポットの時代になるぞ」

ホームセンター販売用のポット苗

これには説明が必要ですね。ホームセンターに行くと、トマトの苗もナスの苗もピーマンの苗も、ビニール製のポットに入れて売られていると思います。実は40年前はポットに入れず、そのまま束にして売られていました。根っこがむき出しでは苗が弱るということで、徐々にポット入りに変わってきたのです。

ところが、不思議なことに、令和の時代になっても、ネギの苗とタマネギの苗だけはポットで売られていないのです。バラ苗とか束苗といって、そのままの苗をゴムで縛った状態で、店頭に並べられている。

 

その理由は何か? 何もありません。「いままでそうしてきたから」という慣習だけ。パソコンや携帯電話のように毎日使うものは、ユーザーからの要求も多いので、どんどん進化していきます。でも、ネギやタマネギの苗は春と秋に売られるだけです。1年に2回のことだから、去年のこともすぐ忘れ、まったく進化しなかった。これも「農業界の七不思議」に数えていいと思います。