初代葱師・清水寅氏

ネギ1本1万円で売る男が見出した、トラと「あえて戦わない」戦法

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(18)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第18回では、大手食品会社とどう戦うか、をお届けします。>>今までの連載はこちら!

「高いけどおいしい」餃子はビジネスにならない!?

販売は続けているものの、やり方を変えようとしているのが、ねぎ餃子です。

ネット販売している「寅ちゃんねぎ餃子」がそれで、20個入り980円。「おいしい」と評価はいただくのですが、決してバカ売れしているわけではありません。

 

実は日本の冷凍餃子の売上の8割は、「味の素」と「大阪王将」だけで占めています。値段を見ると、その理由がわかります。どちらも12個入りが300円程度で買える。値段がうちの半分ぐらいなのですから、競争力が半端ない。

僕らの技術では、どんなに頑張っても20個入り600円にできるかどうかでしょう。それをやらないのは、「そこそこ高いのに、あまりおいしくないね」と言われたくないからです。それなら「かなり高いけど、やっぱりおいしいね」のほうがいい。

道の駅やお土産屋さんに行くと、農家が作った1000円のジャムや、800円のドレッシングなどが並んでいます。あれも同じことです。「かなり高いけど、やっぱりおいしいね」路線を選んでいる。

売り文句はいろいろあるのです。農家が手間ひまかけて作ったこだわりの野菜や果物を、ひとつひとつ手作業でドレッシングに仕立てましただとか。うちだって、そんな感じの売り文句を使っていた。

僕なんか、ミシュランで星をもらっているシェフに向かって、「あんたよりおいしい餃子を作れる」と言いそうになったぐらいなのです(ホントに口に出さなくてよかった!)。それぐらい味への自信があった。

でも、その説明で消費者は「それなら高くても仕方ないね」と納得するでしょうか? 納得する人もいるでしょうが、ごくごく少数です。それでは月何十万円のビジネスにはなっても、月何億円のビジネスに育っていかない。