経産省、世紀の大失策…無茶苦茶なコロナ対策のせいで、日本は衰退へ

もはや通産省時代の栄光にすがるのみ
森永 卓郎 プロフィール

もう一つだけエピソードを紹介しよう。夜遅くなって、通商産業省の役人が、所管する業界の企業に電話をかけて、こう言う。「今日は仕事が立て込んで、終電までに帰れそうにないんだよね」。すると、1時間ほどで、その会社から大きな寿司桶と束になったタクシー券が届けられた。私自身の目でみた光景だ。

ところが、そんな通商産業省の威光が、1980年頃から、少しずつ衰え始めた。グローバル化と規制緩和の流れのなかで、日本の経済にも新自由主義が浸透してきたからだ。新自由主義では、民間事業への政府の介入はできるだけ小さくするというのが原則だ。だから通商産業省が行ってきた産業政策は、とんでもないということになる。通商産業省は、地盤沈下を始め、最早不要になったと言う人まで出てきたのだ。

元首相秘書官・今井尚哉氏の失策

しかし、2001年に経済産業省に改称された通商産業省は、思わぬ形で復権する。それが、安倍政権の誕生だった。安倍総理は、自民党のなかでは珍しい「反財務省」の政治家だ。それは、消費税増税を2度も延期したことからも明らかだ。

安倍晋三前総理[Photo by gettyimages]
 

安倍政権誕生前までは、首相官邸は財務省が仕切っていた。しかし、安倍総理が反財務省であることに乗じて、経済産業省が首相官邸の実質的な支配権を掌握したのだ。その象徴が今井尚哉政務秘書官だ。

今井尚哉氏は、2012年に就任して以降、8年近くにわたって総理秘書官を務め続けるだけでなく、2019年には総理大臣補佐官も兼務で任命されている。総理大臣補佐官というのは、本来、総理大臣側近の国会議員が務める仕事だ。その職務に役人の今井氏を任命したのは、今井氏の処遇を改善するためだと言われている。それくらい、安倍総理から絶大な信頼を寄せられているのだ。