「シャネル5番」にも使われる、たった4種類しかない動物由来の香料

人と香りの5000年の歴史
平山 令明 プロフィール

ジャコウネコのシベット

最後が、ジャコウネコです。ネコと言っても、ネコ科の動物ではなく、ジャコウネコ科という別の科に属します。ジャコウネコの生殖器近くにある香囊(会陰腺)から黄白色のペースト状の分泌液が出ます。

ジャコウネコ Photo by AndreAnita/iStock

香料として利用する場合には、エチルアルコールに溶解してチンキとして使います。この香料はシベット(ジャコウネコ)と呼ばれ、濃度が高いと刺激的な悪臭になりますが、薄めると良い香りに変化します。

他の動物由来の香料と同じように、シベットも保香剤としての効果があり、特に花の香りに輝きと温かさを付加し、香りをより引き立てる効果があります。

したがって、香水の中に少しだけ添加されていることが少なくありません。シベットも現在は動物愛護の観点から、合成化学的に作られたものに置き換わっています。

 

香水の1つの代名詞である「シャネルの5番」にもシベットが使われていて、バラ、スズラン、ジャスミンそしてアイリスなどの花の香りに重厚感を与える上で重要な働きをしています。

(この記事は『「香り」の科学』の内容を編集・再構成したものです)