「シャネル5番」にも使われる、たった4種類しかない動物由来の香料

人と香りの5000年の歴史
平山 令明 プロフィール

マッコウクジラから取れる竜涎香

マッコウクジラからは竜涎香(りゅうぜんこう、アンバーグリス)が取れます。これはマッコウクジラの腸内で作られる結石であり、消化できなかった餌が結石化したものと考えられています。

アンバーグリス Photo by spline_x/iStock

そうして出来た結石は、クジラの体内から排出され、長い時間海を漂い、海岸に打ち上げられることがあります。発見される頻度が非常に少ないことから希少な香料です。

クジラの体内からも発見することはできましたが、商業捕鯨が禁止されたため、現在では昔のように偶然の発見でしか入手できません。

昔から非常に高価な香料として珍重されてきました。海岸で偶然見つけた軽い石が竜涎香で、思わぬ収入に恵まれた人の話が今でも時々ニュースになります。

その香りは、「海と動物的な匂いを含んだ甘い香り」と表現できるかもしれません。

日本の香料のトップ・メーカーである高砂香料工業株式会社の高砂コレクション・ギャラリーには、見事な竜涎香が展示してあり、希望者はその香りを嗅ぐことができます。

 

竜涎香は、エチルアルコールで抽出して用います。アルコール抽出液のことを特にチンキと呼びます。ついでながら、今はあまり使われなくなった傷薬のヨードチンキは、実は水溶液ですので本当はチンキではありません。

竜涎香はそれ自身が良い香りを持つだけでなく、他の香りを持続させる保香効果を持っているため、過去には高級な香水に用いられました。