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「シャネル5番」にも使われる、たった4種類しかない動物由来の香料

人と香りの5000年の歴史

人と香りの5000年の歴史

良い「匂い」である「香り」は、洋の東西を問わず古くから使われてきました。「香り」は土器などと違って、「物」として残っていませんので、どの程度昔から使われていたのかは分かりません。しかし、有史以前から、良い香りのする植物の花や樹脂が使われていたと考えられています。

シュメール文明(紀元前3000年ごろ)は、すでに「香り」に関する記述を残しています。現代でもよく使われている香料の記述が楔形文字で刻まれていました。またエジプト文明では、紀元前3000年よりも前から香料を使っていたようですが、紀元前2500年ごろから行われたミイラ作りには、「香り」と共に防腐効果のある種々の香料が試され、使われました。

これらの文明どうしの交流や相互の影響も十分あったに違いありませんが、人種や民族にかかわらず、香料の多くが人類の生活に密接に関わってきたことを示します。

日本でも同様に有史前から香りは用いられてきたと考えられます。日本で最も古い本である『古事記』と『日本書紀』には、非時香菓(ときじくのかくのこのみ)という果物に関する記述があります。非時香菓は現代では橘(タチバナ)を意味します。

橘の木と実(出典:環境省ホームページ https://www.env.go.jp/garden/kokyogaien/news/2015/12/1223.html)

タチバナの葉は常緑で、常に良い香りがすることから、古代では珍重されたようです。またタチバナは日本固有の柑橘であり、仏教伝来の時期に中国から香料が入ってくるまでは、タチバナが日本国内では、貴重な香りとして使われてきたのではないだろうかと考えられています。

その後、仏教伝来と共に、中国だけでなく他の古代文明で使われてきた香料も同時に日本に入ってきました。香料だけでなく関連する道具なども正倉院に現在でも残されています。

 

自然界から得られるさまざまな香り

私達の身近にある良い香りの多くが自然界から得られるものです。しかも、昔も今も良い「香り」のほとんどを植物に依存しています。

香料の取れる植物部位については、私達はある程度想像できますが、動物由来の香料の源についてはあまり馴染みがありません。実は、香料を取れる動物は4種類しかありません。

マッコウクジラジャコウジカビーバーそしてジャコウネコ(霊猫)です。

この記事では、この4種類の動物(香料)についてお話ししましょう。