5Gだけじゃない!iPhone 12に託されたアップルの新戦略

4機種同時投入に込められた深い意味
西田 宗千佳 プロフィール

携帯電話において、5Gがどのような意味をもつかを考えれば、答えはシンプルだ。

「よりスピードが上がって、使い勝手が良くなる」──細部を見れば他の要素ももちろん存在するが、ひとまずはそう考えてもらってかまわない。

一方で、日本も含め、各国で5Gへの移行がスムーズに進んでいるか、というとそうではない。この点については、過去の記事でも指摘してきたとおりだ。(〈5Gがいよいよスタート!期待が高まる次世代通信の「理想と現実」〉〈国民的大疑問! 話題先行の「5G」は、結局「いつが買い」なのか?〉参照)

5Gのインフラ整備には時間がかかる。

 

日本の場合、サービスインしたといっても、実際にはサービス「エリア」というよりサービス「ポイント」といったほうが正しいくらい、5G接続できる地域は限られている。サービスが始まったとはいうものの、ほとんどの地域で「使えない」のが現状だ。

だが、携帯電話事業者としても、5Gの利用を促進せねばならない。そのためには、エリアの充実とともに、「5Gが使えるスマートフォンの所有者を増やす」必要がある。

Androidを採用した5Gスマホ自体は、すでに1年以上前から市場に出回っている。世界的に見ればAndroidのほうがシェアは高いが、単一機種として見れば、iPhoneの人気は非常に高いし、日本のようにシェアが特別に高い地域もある。

アップルとしても、5G対応の製品投入をこれ以上、遅らせることはできないし、携帯電話事業者としても「5G対応iPhone」を起爆剤にしたいという思いがある。

今回の発表会にゲストとして登場した、アメリカの携帯電話事業者・Verizonのハンス・ベストベリCEOは、「もう待つ必要はない。iPhoneが5Gに対応するのだから」と宣言した。ちょっと極端な言い方だとは思うが、そのくらい待望していたということだろう。

【写真】Verizonのハンス・ベストベリCEOは、「5Gは、もう待つ必要はない」と宣言したVerizonのハンス・ベストベリCEOは、「5Gは、もう待つ必要はない」と宣言した

日本の携帯電話事業者も、以前から「5G対応のiPhoneが出れば」と話していた。両者の思惑の一致が、「5G全面展開」を生み出したのだ。

Androidを追いかける

とはいうものの、実際のサービスの現状を考えると、単に「5G対応である」という理由だけで、スマホの買い替えが進む状況にはない。先ほども述べたように、5Gのエリアは決して広くないため、使えるシーンが限られるからだ。

確かにスピードが上がることは嬉しいが、それだけでスマホを買い替えたい、という人は少数派であり、「速くなって、何ができるのか」という点こそが重要だ。

残念ながら現在の5Gスマホは、この疑問に対して明確な答えを提供できていない。一方で、スマホは数年使い続けるものなので、「今から買うのに4G」というのは不安もある。

現段階ではメリットが少なくても、サービスの状況が少しずつ、確実に改善されていくことを考えれば、「スマホは5G」が当たり前になっていくだろう。Androidで一足先に起きている現象を、アップルも「iPhone 12」シリーズで追いかけるのだ。

魅力的な機能

バリエーションが増えた「iPhone 12」シリーズで、いったいどの機種を選ぶべきなのか? 「Pro」モデルにも視野を広げて考えてみよう。