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フランスに「親のための学校」がある「重要な理由」

子どものケアは親のケアから

親子間トラブルや、家出少女がSNSで出会った見知らぬ男のところで見つかったというニュースが続く日本。子どもが自分で選択できる相談先は多くない。

筆者が2000年代半ばに首都圏の福祉事務所で働いていたとき、母子家庭で、母親の彼氏が夜来ることが嫌だと夜間に路上で何度も保護される中学生の少女がいた。母親が事実を否定するのでなかなか話は進まないまま娘は外泊が増え連絡が取りにくくなってしまっていた。

筆者が現在調査しているフランスのパリの北にあるセーヌ・サン・ドニ県のシェルターにはこのようなケースも来ており、少女を保護し、ケアし、親のケアもおこなう。

同県の警察署の家族保護班への調査によると、学校や地域のソーシャルワーカーなどからの情報で「未成年の所在がわからない」「帰宅していないようだ」という情報がある場合、親が捜査を希望しているか否かに関係なく捜査を開始する。当日中に携帯電話端末の所在を特定し、通話記録のあった先に電話しほぼ発見に至るということである。

警察は「家出したということは解決すべき問題があるということ」「不具合の症状」という理解でそのまま家に返すことはしないと言う。特に子どもが嫌がる時には絶対に返すことはしない。家族保護班は子どもへの聞き取りや支援の専門の訓練を受けているが、彼らだけでなく警察署のソーシャルワーカーと心理士、必要なときはシェルターも加わり子どもがどのような問題に直面しているのか聞き親子間の調整を試みる。

帰宅したらまた問題が出そうな場合や性的ビジネスにつながる予感があるときはすぐに子ども専用の裁判官に電話し裁判官命令でまずは保護、8日以内に調査を終える。裁判官の指揮のもと警察が動き、警察は裁判官にとっての目となり調査にあたる。女子の家出には通信記録の中に売春斡旋業者の声かけも含まれていることもあるので特に念入りに調査し犯人(容疑者)の逮捕や立件につなげることも多い。

シェルター職員たちの写真(左のロランは立ち上げをした人物、前職は路上エデュケーター)
 

前回の記事ではフランスで子どもに安全な家出先を用意していること、そこでおこなわれている若者へのケアについて紹介した。今回は家出した未成年を保護するシェルターが親にどう関わっているかについて書きたい。