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天皇皇后が、緊急事態宣言から半年後も「厳しい自粛」を続ける理由

コロナに翻弄される「令和の天皇像」

「ステイホーム」を続ける天皇

昨年5月1日に新天皇が即位して、1年半が経とうとしています。

改元前の昨年3月に上梓した拙著『平成の終焉』において、私は「ポスト平成の皇室が平成と全く同じということはあり得ません」と書きました。この予測は結果として当たりましたが、それは令和の天皇と皇后が主体的に変えたからではありませんでした。コロナ禍という外部的な要因によって、好むと好まざるとにかかわらず、変わらざるを得なくなったからです。では具体的にどう変わったのでしょうか。

現時点での「令和の天皇像」は、端的に表現するならば「動かない天皇」と言えるでしょう。「動かない」のではなく「動けない」といったほうが、より正しいかもしれない。

感染拡大予防のため、憲法の定める「天皇の務め」たる国事行為すら十分に行うことができず、多くの公務が不可能になっています。2月23日、即位後初の誕生日の一般参賀は中止となりました。全国で国民に直接触れ合う機会である行幸啓も自粛を余儀なくされています。

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天皇の日程は宮内庁のサイトで確認できますが、現在もなおほとんどが赤坂御所、宮中での活動となっています(https://www.kunaicho.go.jp/page/gonittei/top/2)。

メディアを通して伝わってくる天皇の動向といえば、まず、専門家による講義「ご進講」が何度か行われていること。例えば4月10日には、尾身茂・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議副座長を、7月には日本経済団体連合会審議員会、日本商工会議所、経済同友会の各トップを招いています。いずれも、赤坂御所内での活動です。

天皇皇后はオンラインでの接見・説明や催しへの参加にも積極的ではありません。秋篠宮家で頻繁にオンラインでの接見などが行われているのとは対照的です。

ひねくれた言い方かもしれませんが、天皇と皇后が外出を自粛することで「ステイホーム」を自ら体現し、国民に規範を示している――天皇自身が望んだ姿ではないにせよ――令和の天皇像は期せずして、そのようなものになっています。