〔PHOTO〕iStock

《池袋暴走》上級国民「無罪主張」で想像以上の大批判が起きた「深いワケ」

いびつな構造の正体を解き明かす

激しく再燃した「上級国民バッシング」

2019年4月、東京・池袋で突然車が暴走して2人が死亡、9人が重軽傷を負った事故の初公判が東京地裁で開かれ、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)罪に問われた旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)は起訴内容を否認し、弁護人も無罪を主張しました。

被告から遺族に対する謝罪の言葉が述べられたものの、それとは裏腹に「アクセルペダルを踏み続けたことはないと記憶している」「車に何らかの異常が生じ、暴走した」などと過失を否定したのです。

〔PHOTO〕iStock

この事件をめぐっては当初から「上級国民」というスラングが頻出したことが特徴的でした。

「逃亡、証拠隠滅の恐れがない」として逮捕されなかったことなどから、被告が元旧通産省の官僚で、大手企業の役員などを務め、勲章(瑞宝重光章)をもらっている人物=上級国民だからではないか、といった憶測がまるで事の真相であるかのように拡散され、執拗なまでのバッシングに発展していったのです。

 

また、被告は事故直後から「アクセルが戻らなかった」などと自身の過失を否定する発言をしており、およそ半年後の11月にテレビの取材に対し、「安全な車を開発するようにメーカーの方に心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になってほしい」(JNN〈TBS系〉/2019年11月9日)と語り、まったく同様の立場から重ねて責任回避を匂わせる態度を示したことから、バッシングはより個人攻撃の色合いを強めていきました。

今回の初公判でもこれまでの被告の考えを繰り返すことが十分想定されていたとはいえ、公判後の会見で遺族が「2人の命と遺族の無念に向き合っていない」と指摘したように、何ら反省の素振りがないとみなされたために世の中の人々の怒りが激しく再燃したのです。