ネギ1本1万円で売る男が、ホウレンソウを育ててたどり着いた“闘い方”

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(16)
清水 寅 プロフィール

なぜキスよりも甘いのか?

一般的なホウレンソウは25センチほどの長さですが、うちのは50~60センチあります。根っこなんか、地下2メートルぐらいまで伸びていると言われています。規格外もいいところですが、あえて言うなら4~5Lサイズぐらいある。

※画像はイメージです。Photo by iStock

種苗会社も毎年、見学に来ます。彼ら自身が栽培しても、ここまで大きくはならないし、ここまで甘くはならない。そもそも、そういう品種として育種していないと言うのです。「不思議だ。どうやったら、こんなに育つんですか?」と

 

規格外に大きなホウレンソウを作ろうと考えた理由はふたつあります。

まずは、例の「価格の乱高下」。冬は198円のホウレンソウが、夏は298円、秋口は88円になったりする。そうした乱高下に巻き込まれるよりは、いいものだけ作って高単価で売りたい。そのために、何かスペシャルな特長が必要だった。並はずれて巨大ならば、消費者をビックリさせることができます。

もうひとつは(こっちの理由のほうが大きいのですが)、ホウレンソウは大きく育てば育つほど、エグみが減って、甘みが増すことを発見したからです。

調べてみると、ちゃんと科学的に分析している研究者がいました。ホウレンソウのエグみの正体は、シュウ酸と硝酸だと言われています。市販のMサイズと2Lサイズを比較した場合、茎でシュウ酸は全重量の0.22%から0.18%に減り、葉で硝酸は0.05%から0.015%に減るようです。

この分析では、エグみを消す効果のあるクエン酸も、甘み成分である果糖、ブドウ糖、ショ糖も、大きいホウレンソウのほうが増えていた。「大きく育てたほうが甘くなる」という僕の実感は、科学的にも正しかったわけです。

この分析はMサイズと2Lサイズの比較でしたが、キスよりあまいほうれん草は4~5Lぐらいの大きさがある。シュウ酸・硝酸はさらに減り、クエン酸・果糖・ブドウ糖・ショ糖はさらに増えているはずです。

ただでさえ甘みは増しているのに、エグみが減っているぶん、よりその甘さを感じられるようになる。ホウレンソウ特有のギシギシした感じがないので、生でサラダにして食べられるぐらいです。

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