『ねぎびとカンパニー』のネギ苗

ネギ1本1万円で売る男…ほかに手を出した商売が「全部失敗」したワケ

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(14)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第14回では、順風満帆に見える寅氏の失敗経験についてご紹介。>>今までの連載はこちら!

失敗に次ぐ失敗

ここまで読んでいただいた方には、僕が苦労はしても、最終的には成功ばかりしているように見えたかもしれませんが、とんでもない! 特に農業を始めてからは、チャレンジしたことのほとんどが失敗に終わっています。「うまくいったのはネギだけ」という言い方をしてもいいぐらいです。

『ねぎびとカンパニー』ネギ畑
 

思いつくことは、何でも試してみたいタイプなのです。毎回「これは絶対に成功するぞ!」と思い込んで、9割がた失敗する。自信満々で失敗する。人の何十倍は挑戦していますから、失敗も何十倍あって当然です。

才能が0%でも100%の努力さえあれば成功するという信念は、いまも変わりません。しかし、努力の方向を間違えてしまうと、その努力は成果に結びつかない。魚のいない海に釣り糸を垂らしているのと同じで、どんなに釣り方を工夫しようが、何十時間粘ろうが、釣れるはずがないのです。

努力の方向を決めなきゃいけない立場になってみて、体操や卓球のときはコーチが、前の会社のときは会長が、ネギ栽培のときは師匠が、陰に陽に正しい方向へ誘導してくれていたのだと、いまさらながら思い知らされました。

いま振り返ってみれば、失敗の大半は、ある条件と関係しています。その条件があるため、どうしても焦りが生まれてしまうのです。

東北では、雪が積もっている間は農業ができない――。

この前提条件だけは動かしがたい。だから東北の農家は冬場だけ杜氏(とうじ)として、全国へ酒造りに出たりしてきた。青森では、冬でも地元で仕事がしたいと、名産であるニンニクの乾燥技術を発達させた。北国はどこも冬場は苦労しています。