# 成年後見人

「家に帰りたい」…勝手に家財と店を処分された居酒屋女店主の絶望

「成年後見制度」が産んだ悲劇(2)
長谷川 学 プロフィール

「家に帰りたい」と泣いていた

常連客のCさんが言う。

「グループホームは2階に寝室(個室)があるが、起きたら全員4階に移され、皆さん、夜寝るまで椅子や車椅子に座らされている様子でした。常勤職員が2名程度と少なく目が届かないためにワンフロアーに集めていた。千穂さんは私たちがお見舞いに行くと、いつも“家に帰りたい”と泣いていました」

2018年12月1日、後見人の「店明け渡し」の求めに従い、千穂さんと常連客が店で一足早い忘年会を開き、その後、店のカギを後見人に渡した。この日を最後に店は完全に閉じられた。いまは建物は壊され、別の建物が建設中だ。

 

同年12月8日、後見人から「千穂さん名義のマンションを売却する。ついては部屋の中の私物を処分するので、要る物、要らない物を分別してほしい」と要請があった。

Bさんが話す。

「後見人は、私物の処分について千穂さんには知らせていないと言っていました。人生の大事な品を後見人が本人の承諾を得ず、勝手に処分していいのでしょうか」

12月14日、後見人が豊島区の不動産業者に千穂さんのマンションを売却した。後述するが、この売却価格について、後見人と家裁は、千穂さん本人が情報開示を認めているのに、いまだに教えていない。

千穂さんは私の取材に「勝手に売られて、いくらで売ったかも教えない。ドロボーと同じだ」と怒っていた。本人の資産がいくらで売られたか、それを本人が知りたいと言っているのに教えない。これのどこに合理性、正当性があるのだろうか。

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