# 成年後見人

「家に帰りたい」…勝手に家財と店を処分された居酒屋女店主の絶望

「成年後見制度」が産んだ悲劇(2)
長谷川 学 プロフィール

愛猫と引き離されて…

Bさんによると、この当時の千穂さんは要介護度3だったとみられるという。

「千穂さんは老猫を可愛がっていました。名前は“オサマビンラディン”。彼女は“オサちゃん”と呼んでいた。しかし彼女が病院や老健を転々とする中、18年7月に猫をマンションから他に移したところ、環境変化によるストレスもあり、1週間ほどで亡くなってしました。

この頃、成年後見人から“正式に店を閉めるので大家の連絡先を教えろ”と言われ、さらに10月16日に千穂さんは成年後見人の指示で老健からグループホームに移されました」

 

先に、職業後見人がつくと、家族や友人との面会を禁じられることが珍しくないと書いたが、千穂さんの場合も同じだった。

「私たちが千穂さんの居場所を聞いても、司法書士は“施設側から本人が落ち着くまで教えないでほしいと言われている”と言って教えてくれませんでした。心配だったので私たちは手分けして心当たりの施設を当たり、ようやく入所先を突き止めました。

施設側に聞くと“居場所を知らせなかったのは施設側の判断ではなく、後見人さんの判断です”とのことでした」(Bさん)

私は、これまで50件ほどの法定後見事例を取材してきたが、家族や友人に、本人の居場所を教えない理由は察しがつく。本人が家族や友人と面会すると、必ず後見人や施設に不満を言い、家族や友人が本人に代わって後見人に文句を言ってくる。それが煩わしいため、会わせないケースが多いのだ。

この移転について後見人は「急場しのぎの入所であり、他に良い施設が見つかれば移す」とBさんに説明したが、「私たちが、他の施設を探して“資金は私たちが出し合うから”と移転を求めても後見人は認めなかった」という。

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