# 成年後見人

「家に帰りたい」…勝手に家財と店を処分された居酒屋女店主の絶望

「成年後見制度」が産んだ悲劇(2)
長谷川 学 プロフィール

「頭はしっかりしている」

一般社団法人「後見の杜」の宮内康二代表(元・東京大助教)が言う。

「自治体が関与する場合、保佐や補助だと関与の必要性が弱く映るので、何でもかんでも一番重い後見にして家裁に出すのが全国的に常態化しています。診察医は家裁や行政と普段から連携して動いていますから阿吽の呼吸。

しかも、米国とは違い、日本には後見、保佐、補助の区別をつける明確な判断基準がなく、どの類型にするかは、医師の匙加減によるところが大きい。

そして家裁は“医師が後見と診断した”ことを根拠に成年後見人をつけ、行政(自治体など)や職業後見人は、手続きが整っていることを理由に、本人や家族、友人が不満を述べても、取り合わない仕組みになっています。

認知症の程度を不当に悪く書いた医者を偽証で訴えたいという本人や家族が急増しているので、今後は少し改善されるかもしれません」

 

つまり、いったん成年後見人がついたら、死ぬまで外せず、しかも本人や家族が、成年後見制度や成年後見人の対応に不満を持っても、それを相談し、改善するための窓口がどこにもないのである。

17年に名古屋高裁で家裁の後見審判(=判決)が取り消されたのは稀有の事例なのだ。

千穂さんも同じ運命を辿った。18年3月、千穂さんに成年後見人2名が付き、それと同じ日に千穂さんは台東区の老人保健施設に入れられた。

「老健の職員は“千穂さんは頭がしっかりしている。ちゃんと歩けるし、食欲も旺盛。なぜ千穂さんが家に帰れないのか不思議だ”とよく話していました」

頻繁に千穂さんの見舞いに行っていた常連客のBさんそう話す。

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