出荷前の「寅ちゃんネギ」

農協には頼らない! ネギ1本1万円で売る男が見つけた新しい道

なぜネギ1本が1万円で売れるのか?(8)
「1本1万円のネギが売れている」そう聞くと驚く人も多いのでは?
『ねぎびとカンパニー』社長・清水寅氏は脱サラ後に農業を始めた中途参入組。しかし今では『ねぎびとカンパニー』のネギは1本1万円の価値が付くほどに…。
注目書籍『なぜネギ1本が1万円で売れるのか?』から毎日連載企画!
第8回では、農協以外に新たな道を探し始めた寅氏の奮闘をお届けします。
>>今までの連載はこちら!

まずは蕎麦屋を攻略

農協に出さないとしたら、どこに出せばいいのか?

最初に目をつけたのは蕎麦屋でした。蕎麦屋はネギのヘビーユーザーで、山形県は蕎麦どころだから、たくさんお店があるのです。

※画像はイメージです。Photo by iStock

初年度は農家の資格がないので、軽トラに載せて売りにいったりしていました。

朝は農作業、夜は出荷準備がありますから、僕が動けるのは昼間しかない。ランチタイムにネギの売り込みをするわけで、行く先々で怒られました。でも、初年度で50軒ぐらいは契約してくれた。

蕎麦屋にとってもメリットは大きかったのです。新鮮なものが、市場を通すより安く手に入るわけですから。

うちのネギが蕎麦屋が好むタイプの品種だったという理由もあります。ネギには縦伸びする品種と、横太りする品種があって、初年度は縦伸びする品種を栽培していた。大半の農家は横太り品種を選んでいたので差別化できると思ったし、縦伸び品種のほうが成長は速いので、誰より早く売れて有利だと考えたのです。

縦伸びする品種は皮が柔らかくて、あまり辛くない。蕎麦屋では生で食べることも多いので、その点を気に入ってもらえたようです。

ただ、皮が柔らかいというのは、畑で腐りやすいことをも意味します。おいしいけれど、弱いのです。そのせいか、初年度は病気にやられまくってしまいました。だから、2年目からは横太りする品種にかえ、いまにいたります。

とはいえ、現在は皮が硬くならない育て方をしていますので、横太り品種でも、柔らかく作ることができる。だから、蕎麦屋から「前みたいに柔らかくないじゃないか」なんて文句を言われたことは一度もありません。