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携帯料金は安くなるかもしれないが…ドコモ子会社化に潜む「これだけの罠」

長期ビジョンに不安あり

NTTが子会社のNTTドコモに対してTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化することを決断した。NTT内部では、ドコモを完全子会社にしたのち、長距離通信事業やプロバイダ事業などを担当するNTTコミュニケーションズと経営統合するプランも浮上しているという。

かつてNTTは、官営の電電公社であり、国家権力を背景に独占的に国内通信事業を行ってきた。NTTの分割民営化やドコモ分離は、オープンな競争環境を構築することで、利用者の利便性を高めつつ、国内通信サービス事業の水準を高めるという大きなビジョンを背景に実施された。

結果論になるが、NTTによるドコモ吸収によって、巨大な独占企業が形を変えて復活するという皮肉な状況となっている。足元では菅政権が携帯電話料金の引き下げを強く求めるなど、料金に関して侃々諤々の議論となっている。だが、単純な引き下げ論だけでは、次世代通信規格である5Gへの積極投資や中国のファーウェイ(華為技術)排除が難しくなるなど弊害も多い。日本の通信行政を今後、どのように展開していくのかもっと大局的な議論が必要だ。

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菅政権の値引き要請だけが理由ではない

NTTは2020年9月29日、子会社のNTTドコモに対してTOBを実施し、今期中に完全子会社化すると発表した。現在、NTTはNTTドコモの株式を66.2%保有している。残りの株式を市場で買い付けることでNTTと一体化させる。TOBに投じる金額は4兆円を超える見込みで、実現すれば国内TOBとしては過去最高額となる。

NTTがドコモを完全子会社化するのは、国内市場が縮小しており、グループが結束して規模を追求しければ生き残りを図れないという事情が大きい。NTTは明確に説明していないが、ドコモを完全子会社にしたのち、中間持株会社を通じて保有しているNTTコミュニケーションズと経営統合するという報道も出ている。