# 鉄道

鉄道業界の衰退が止まらない…浮き彫りになった「3つの理由」

「鉄道の日」に、あえて言おう
川辺 謙一 プロフィール

労働者不足も深刻に

[2]の「人口減少」は、鉄道利用者数だけでなく、鉄道を支える労働者が減ってしまう要因だ。鉄道の運営や維持には、一般に思われている以上に労働力を必要とする。

日本の総人口は、2008年をピークに減少に転じたが、地方ではその前から人口減少が続いている。たとえばJR東日本の岩泉線は、沿線人口の減少にともない利用者数がJR発足時の4分の1まで減少し、土砂崩れによる列車脱線事故を機として2014年に廃止された。

岩泉線で使用されていたキハ52形/ウィキメディアコモンズより
 

人口減少による労働者不足は、安全な鉄道輸送を維持するうえできわめて重要な課題だ。このためJRグループを始めとする多くの鉄道事業者は、来るべき人口減少社会を見据えて、車両や施設のメンテナンスフリー化や、保守作業の簡素化に取り組み、より少ない労働者で支えられる鉄道を実現させようとしてきた。

それでもコロナ前には、わずかな希望があった。鉄道会社の幹部のなかには、東日本大震災以降増え続けた訪日外国人観光客(インバウンド)が、国内の人口減少の穴埋めをしてくれるかもしれないと淡い期待をする人もいた。

[3]の「コロナ禍」は、鉄道利用者数の減少に拍車をかけた。今年4月に政府が緊急事態宣言を発出し、外出自粛や、通勤・出張の抑制を求めたことは、人々の生活様式や働き方を大きく変えるきっかけとなった。とくにテレワークやウェブ会議が定着し、鉄道を使って通勤・出張をする人が減ったことは、鉄道事業者にとって大きな打撃となった。

いっぽうインバウンドは、コロナ禍によって消滅した。海外からの観光客が戻ってくるのは、コロナ禍が終息し、世界情勢がある程度安定し、人々の気持ちに余裕ができてからだ。空港アクセスを担うある鉄道会社の社員は「空港列車は空気を運んでいるようなもの。利用者が昨年同様に戻るなんてとても想像できない」と言う。

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